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島谷病院 季節の香り

季節の香り

当院では四季折々の香り感じるおもてなしとして季節に合わせた花を院内に飾っています。
そこで、院内で飾られている花の名や由来など、新たに『季節の香り』として今後シリーズでご紹介していきます。

令和6年 季節の香り

  • 令和6年2月の香り
    グレビレア スパイダーマン・トルコキキョウ・ラナンキュラスラックス・リュウココリネ

    グレビレアは、ヤマモガシ科グレビリア属の常緑樹林です。オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアを原産とし、約250種の品種が確認されています。品種により樹高、葉や花の形、花期や花色などが異なり、樹高は20cmほどの低木から10mを超える高木まであります。グレビレア属の花は、めしべが主体になります。花被(萼と花弁の総称)がくるりと丸まり、そこからめしべが飛び出したものが多数集まるという、とてもユニークな形状をしています。花形は、ロールブラシのように360度花をつけるタイプと歯ブラシのように180度上向きの花を咲かせるタイプ、数個の花が集まり咲くタイプの3つに大きく分けられます。花が成長するとめしべが伸びて蜘蛛を連想させることから「スパイダーフラワー」とも呼ばれて、花色には赤やオレンジ、黄色、ピンクなどがあります。

    グレビレアの名前は、イギリスの王位園芸協会の創始者であるチャールズ・グレビル氏にちなんでつけられたそうです。また、シノブノキ、ハゴロモノキという和名でも知られています。シノブノキは、葉の形がシダ類のシノブに似ていたことから、ハゴロモノキは葉を羽衣に見立て付けられたとされています。

    花言葉は「情熱」「あなたを待っています」「平和」などがあります。

    花材:グレビレア スパイダーマン・トルコキキョウ・ラナンキュラスラックス・リュウココリネ

  • 令和6年1月の香り
    • カスミソウ・スプレーバラ・スイートピー

      「カスミソウ」はナデシコ科カスミソウ属の草花で地中海から中央アジアにかけ120種ほどが分布しています。カスミソウには一年草タイプと多年草タイプの2つのタイプがあります。一年草タイプは小ぶりで一重咲きが多く、花壇や鉢に植えられています。そして店頭などで切り花として目にする多年草タイプは宿根カスミソウとも呼ばれ、枝分かれした細い枝に八重咲きの花をたくさん付けます。草丈は、品種により異なり20cmから1mほどになり、5月から7月に小さく可愛らしい花を無数に咲かせます。花色は白色のイメージがありますが淡いピンク色の品種もあり、店頭などでは青や紫に染められたものも見られます。

      カスミソウの和名は「霞草」、英名は「Baby’s breath(赤ちゃんの吐息)」です。小さな花を無数に咲かせ満開を迎えるころの花姿が、霞がたなびいているように見えることから付けられています。またカスミソウが石灰質の土を好むことから学名「Gypsophila」はギリシャ語の「Gypsos(石膏)」と「Phoilos(愛する)」を語源としています。

      花言葉は「感謝」「無垢の愛」「幸福」などがあります。

      花材:カスミソウ・スプレーバラ・スイートピー

令和5年 季節の香り

  • 令和5年12月の香り
    • サンゴミズキ・ストレチア・オンシジウム

      サンゴミズキはミズキ科ミズキ属の落葉低木で、シラタマミズキの園芸品種です。原産は中国東北部・朝鮮半島北部・シベリアで、耐寒性に優れる一方、暑さに弱いため日本では北関東以北での栽培が適しているとされています。

      樹高は3mほどになり、複数の枝が直立に株立ち状になります。葉は5~10cmの楕円形で枝に向かい合うように付き、葉柄は長く赤みを帯びています。夏になると緑の葉を繁らせ、秋には美しく紅葉します。花期は5~6月頃で、枝先にクリーム色の小さな四弁の花を多数密に付けます。花の後には球形の実が付き秋になると白く熟します。樹皮は緑赤色ですが、落葉のころから徐々に鮮やかな赤に色付いていきます。

      サンゴミズキの花名は、赤色の枝が珊瑚の様に見えることに由来します。

      花言葉には「耐久」「成熟した精神」などがあります。

      花材:サンゴミズキ・ストレチア・オンシジウム

  • 令和5年クリスマス
    • 当院の関連施設である、サービス付き高齢者向け住宅ルピナス港南で飾り付けられたクリスマスです。

      クリスマス1 クリスマス3 クリスマス4 クリスマス2

      こちらは病院の飾り付けで、今年は森のクリスマスをイメージしております。

      クリスマス5

      素敵な飾り付けで季節のイベントを入居者様やデイサービスに来られた皆様も楽しんで頂けたらと思います。

  • 令和5年11月の香り
    • 野ばらのみ・グロリオサ・キイチゴ

      キイチゴはバラ科キイチゴ属の総称であり、世界中に約500種が分布し、日本では35種ほどが確認されています。今回の写真で使用しているものは、日本に自生している「カジイチゴ」という品種になります。

      カジイチゴは関東地方以西の本州、四国、九州、伊豆諸島に分布し、太平洋側の 暖かな丘陵などに自生する高さ2~3m程の落葉低木です。直立してよく枝分かれした枝に、10~20cmの掌状に3~7裂した葉を互い違いに付けます。4月~5月頃、枝先に3cmほどの白い花を咲かせ、5~6月頃にはオレンジ色のしずく型の果実が実り食用にもされます。

      「カジイキゴ」の名前は葉の形がクワ科の「梶の木」の若葉に似ていることに由来しますが、店頭などでは「キイチゴ」や「キイチゴの葉」として流通されていることから一般的には属名の「キイチゴ」で知られています。また、いけばなやフラワーアレンジメントでよく利用され、新緑から紅葉まで、季節によって葉の大きさや色の移り変わりを楽しまれています。

      花言葉は、「愛情」「尊重される」「謙遜」などがあります。

      花材:野ばらのみ・グロリオサ・キイチゴ

  • 令和5年10月の香り
    • 野ばらの実・花トウガラシ カメレオン・コニカルブラック・ピンクッション・紅葉ユキヤナギ

      花トウガラシは、中南米から北アメリカの熱帯を原産地とするナス科トウガラシ属の観賞用トウガラシです。

      原産国では多年草として成育されていますが、寒さに弱いため日本など温帯の地域では一年草となっています。最も多く栽培されているアンヌム種は、2000年以上前からの栽培が確認されており、コロンブスがスペインに持ち帰ったことでヨーロッパに広がりました。日本には1500年代にポルトガル人によって伝えられたと言われています。現在日本で栽培されている食用・鑑賞用のトウガラシのほとんどが当時伝えられたアンヌム種を改良したものであり、たくさんの品種が流通しています。

      草丈は20~100cmで、夏から秋にかけて花を咲かせた後に実を付けます。色は赤・黄色・オレンジ・黒・紫・白・ミックスなどがあり、「五色トウガラシ」という別名でも呼ばれています。形は食用トウガラシのように細長くなるものや円錐状のもの、丸くなるものがあり、大きさも大小様々あります。今回の写真では、小粒タイプの「花トウガラシ カメレオン」と丸く艶やかな「コニカルブラック」を使用しています。

      花言葉は、「旧友」「雅味」「生命力」などがあります。

      花材:野ばらの実・花トウガラシ カメレオン・コニカルブラック・ピンクッション・紅葉ユキヤナギ

  • 令和5年9月の香り
    • アブラドウダン・ゲットウ・ピンクッション・キク

      アブラドウダンは、ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木です。日本を原産とする固有種で、本州の中部地方以北の山野に自生しています。新緑、花、紅葉のいずれの時期も美しく庭木として用いられています。

      樹高は1~3mほどになります。枝はよく枝分かれし、その先端に5枚の葉が車輪状に集まります。葉は長さが2~4cmの楕円形で、縁には細かい鋸歯(ギザギザ)があります。葉の裏側は油を塗ったように艶やかです。5~6月頃に、枝先の花軸から伸びる1~2cmの花柄の先端に白い5mmほどの釣鐘形の花を垂れ下がるように5~14個咲かせます。花の後は、3mmほどの楕円形の果実になり秋に熟すと自然に裂けて多数の種子が飛散されます。

      アブラドウダンの名前は前述したように葉の裏側が油を塗ったような光沢があることに由来し、「アブラツツジ」とも呼ばれています。また、枝が規則的な枝分かれをし、庭掃除用のホウキを作るのに適していることから「ホウキヤシオ」という別名もあります。

      花言葉には「高潔」「純潔」があります。

      花材:アブラドウダン・ゲットウ・ピンクッション・キク

  • 令和5年のハロウィンの香り
    • ハロウィン1 ハロウィン2 ハロウィン3 ハロウィン4 ハロウィン5 ハロウィン6

      当院の関連施設である、サービス付き高齢者向け住宅ルピナス港南で飾り付けられたハロウィンです。

      素敵な飾り付けで季節のイベントを入居者様やデイサービスに来られた皆様も楽しんで頂けたらと思います。

  • 令和5年8月の香り
    • アジサイ・アリアム・瑠璃玉アザミ・ププレウルム・ルテウス

      ルテウスは、北アメリカを原産とするバラ科テマリシモツケ属アメリカテマリシモツケの一品種になります。樹高は2~3mになる落葉低木で、葉や花が美しく、丈夫で病害虫が少ないことから庭木や街路樹として好まれています。

      葉は幅の広い卵形で3~5つに切れ込み、縁は鋸歯になっています。新葉は黄色で、だんだん黄緑色になり、最終的に緑色になります。初夏になると枝先に手毬状の散房花序を出し、白い5弁花を多数咲かせます。

      和名は「アメリカテマリシモツケ」で、別名には「金葉シモツケ」「黄金テマリシモツケ」などがあります。また、ルテウスはラテン語で「黄色」を意味します。

      花言葉は「努力」です。

      花材:アジサイ・アリアム・瑠璃玉アザミ・ププレウルム・ルテウス

  • 令和5年7月の香り
    • アレカヤシ・ガマ・ピンクション・トラノオ

      ガマは、ガマ科ガマ属の多年草で、北半球の温帯から熱帯の温暖な地域やオーストラリアの広域に分布しています。日本でもほぼ全域に自生し、池や川の岸辺など浅い水辺の地中に長い地下茎をはって群生します。その根茎から茎を直立させ、草丈は1~2mほどになります。葉は線状で厚く、下部は茎を鞘状に包むように付きます。6~8月ころになるとで、葉よりも茎を高く伸ばし先端に円柱形の花穂を付けます。花穂は直径が6mm、長さ20cmで上部が黄色い雄花穂、下部の緑色の部分が雌花穂で、いずれも花弁はありません。花が終わると、雄花穂は穂軸だけが穂の上に残り、雌花穂は果穂となり茶色に熟します。太さも1.5~2cmと太くなり、よく知られている「ガマの穂」になります。果穂は熟すと自然に裂けて白い綿毛が飛び出し、風に乗って飛散します。

      ガマは、古くから様々な用途で使われてきました。若葉は食用に、葉や茎は簾(すだれ)の材料として使われてきました。そこから別名「ミスクサ(御簾草)」が付けられています。また、花粉は、蒲黄と呼ばれ傷薬に用いられ、「古事記」の因幡の白兎の話の中に登場することでも有名です。そして、ガマの穂を自然乾燥させたものに火をつけて出た煙は蚊よけとして使われます。

      花言葉は、「従順」「素直」「救護」などがあります。

      花材:アレカヤシ・ガマ・ピンクション・トラノオ

  • 令和5年6月の香り
    • カーネーション・宿根スイートピー・姫リョウブ・利休草

      宿根スイートピーはヨーロッパや北アフリカを原産とする、マメ科レンリソウ属の植物です。春先によく見かけるスイートピーの同属ですが、スイートピーが一年草なのに対し宿根スイートピーは多年草です。そして、初夏に開花することから「サマースイートピー」とも呼ばれています。

      草丈は約50~300cmほどになります。草姿はツル性で、茎はしなやかでやわらかな曲線を描きます。その先端が紐状のまきひげになっており、支柱や他の植物に絡みつきながら生長していきます。花は、一年草のスイートピー比べ大きさが小さく、花弁は厚みがあります。蝶々に似た形の花を穂状にたくさん連なるように咲かせ、花色には白・薄ピンク・濃ピンク・紫があります。

      花言葉には、門出・ほのかな喜び・優しい思い出などです。

      花材:カーネーション・宿根スイートピー・姫リョウブ・利休草

  • 令和5年5月の香り
    • 花菖蒲

      花菖蒲(ハナショウブ)は、日本や朝鮮半島から東シベリアを原産とする、アヤメ科アヤメ属の多年草で、湿った土地に自生しています。5月頃になると新芽を出し、草丈は50~120cmになります。葉はやや濃い緑色の剣状で葉脈がはっきり見え、葉の中央に筋が1本通っています。6月~7月に真っすぐ伸びた花茎の先端に花径10~15cmほどの大きく華やかな花を咲かせます。花型には三英咲きと呼ばれる3枚の弁が大きく目立つもの、6枚の弁が広がる六英咲き、八重咲きなどがあり、花色は白・桃・紫・青・黄や斑入りなど、「色彩の魔術師」の異名を持つほど多彩です。また、花弁の付け根が黄色く染まっていることも花菖蒲の大きな特徴の一つです。

      花菖蒲は、江戸時代中頃に各地に自生するノハナショウブの中から花色や形に変化のあるものを探し出して改良が進められた古典園芸種です。その品種はとても豊富で現在では5000種以上あるといわれ、育成地により大きく江戸系・伊勢系・肥後系・永井古種の4つの系統に分けられます。江戸系は品種数や色彩が豊富で庭植えに向き、伊勢系と肥後系は室内鑑賞用に栽培や改良をされた品種、長井古種は原種に近い品種になります。またこの他にも、異なる系統間の交配によりつくられた品種もあります。

      花菖蒲の名前は、菖蒲に葉が似ていることと、美しい花を咲かせることに由来すると言われています。因みに、菖蒲はショウブ科ショウブ属の花を咲かせない別種であり、端午の節句の際の「菖蒲湯」に用いられています。

      花言葉は「嬉しい知らせ」「優しい心」「優雅」「心意気」などがあります。

      花材:花菖蒲

  • 令和5年4月の香り
    • ミニバラ・アルストロメリア・タマリソウ

      テマリソウ(手毬草)は、まるでマリモのような緑のポンポンを茎先に付ける姿が特徴的なナデシコ科ナデシコ属の耐寒性多年草です。ヨーロッパでビジョナデシコ(美女撫子)を改良し生まれた園芸品種になります。草丈は30~60cmほどで、茎には同属のナデシコやカーネーションによく似た節があります。その茎の頂部に、花にも見える緑のポンポン状の総苞を付けます。総苞は、花弁やおしべ・めしべがひげ状に変形した苞葉が多数集まったものです。本来は総苞から鮮やかな花が咲かせるのですが、テマリソウは花を咲かせず、総苞が大きく進化し丸く球状になります。

      テマリソウは切り花として流通し始めたのは2000年以降のまだ新しい花材です。花弁が出ないため日持ちが良く、また可愛らしい形状から人気が高く、最近は苗が販売されるようになり、鉢植えや庭植えとしても楽しまれています。

      花言葉は、「純粋な愛」や「才能」「思慕」などがあります。

      花材:ミニバラ・アルストロメリア・タマリソウ

  • 令和5年のさくら
    • 牡丹桜 牡丹桜、デイジー港南 牡丹桜、アイリス港南 牡丹桜、島谷病院

      令和5年の桜です。

      今年の桜は、山形と京都から取り寄せられた花もちのよい「牡丹桜」です。
      花の後の葉桜まで長く楽しんでいただけるそうです。

      患者様、入居者様、来院いただいた皆さまにも喜んで頂けたらと思います。
      今年も桜、ありがとうございました。

  • 令和5年3月の香り
    • グロリオサ・ラナンキュラス(シャルロット・ジュリエット・丸えくぼ)・サマースイートピー・アリウムクレイジービーンズ・アリウムブルーパヒューム

      ラナンキュラスはキンポウゲ科キンポウゲ属の球根植物です。ラナンキュラスには500種以上の品種があり、一般的によく知られる薄い花弁が幾重にも重なりふんわりと花開く八重咲きタイプがよく知られています。そして、ポンポンシリーズやモロッコシリーズ、シャルロットシリーズ、「2022年2月の季節の香り」に掲載させていただきましたラックスシリーズなどの人気の品種がシリーズ化した品種群となっています。今回はラナンキュラスのシャルロットシリーズについてご紹介させていただきます。

      シャルロットシリーズは花芯が黒く、縁がフリル様の花弁が何重にも重なるという特徴があります。花姿がアネモネやシャクヤク、ダリヤに似ていることから「アネモネ咲き」「ピオニー咲き」と言われる品種です。また他の品種に比べ花弁や花型が大きく大輪の花を咲かせます。花の直径が10cm を超えるものもが多く華やかで存在感があります。花色にはピンク系、オレンジ系、ベージュ系などがあり今回は「シャルロットローズ」を生けています。

      花材:グロリオサ・ラナンキュラス(シャルロット・ジュリエット・丸えくぼ)・サマースイートピー・アリウムクレイジービーンズ・アリウムブルーパヒューム

  • 令和5年2月の香り
    • ラクスパー・サマースイトピー・アリウムコワニー・アリアムブル-パヒューム

      ラクスパーは南ヨーロッパを原産とするキンポウゲ科ヒエンソウ属の草花です。秋に種をまき初夏に花を咲かせる一年草で、こぼれ種でも花を咲かせるという育てやすさから庭植えや鉢植えとしても人気があります。草丈は1m程で、高く伸びた茎に小ぶりな花を穂状にたくさん咲かせます。花は一重と八重咲きがあり、花色はブルー・紫・白・ピンクなどがあります。

      「Larkspurラクスパー」はLark(ひばり)のSpur(蹴爪)という意味です。花の後ろにある細い突起(距)がヒバリの蹴爪に似ていることが由来とされています。花の形が小さい鳥が飛んでいるように見えることから、和名に「飛燕草(ヒエンソウ)」や「千鳥草(チドリソウ)」という名前が付けられています。花言葉は、「軽やかさ」「陽気」「活発」などです。

      花材:ラクスパー・サマースイトピー・アリウムコワニー・アリアムブル-パヒューム

  • 令和5年1月の香り
    • 大王松・アルストロメリア・オンシジウム・スイトピー

      春を代表する花の一つに「スイトピー」があります。スイトピーは、イタリアのシチリア島を原産とするマメ科レンリソウ属の一年草または宿根草です。つる性植物で巻きひげを支柱などに絡ませながら成長します。品種により草丈は異なりますが大きなものでは3m程までになり、長い花枝の先にひらひらとした可憐な花弁を1から4つ程度咲かせます。花色は白・ピンク・紫がよく知られていますが、最近では品種改良により一つの花弁に2色以上の色合いがある複色タイプや刷毛目模様など様々な色柄が生まれています。また、染料の吸い上げで色づけさせた染めスイトピーの技術が進歩し、ビビットな濃い花色やアンティークカラー、ニュアンスカラーといった複雑な花色など多くの種類が作られています。

      「スイトピー sweet pea」 の名前は、ほのかな甘い香りがすることが由来しています。日本には江戸時代の末期に渡来し、「ジャコウエンドウ」や「カオリエンドウ」などの和名が付けられました。花言葉は、「ほのかな喜び」「優しい想いで」、その他にも、花の形が蝶々の飛びたつ姿に似ていることから「門出」「別離」という花言葉が付けられています。

      花材:大王松・アルストロメリア・オンシジウム・スイトピー

令和4年 季節の香り

  • 令和4年12月の香り
    • ワタ

      コットンフラワー(綿花)は、アオイ科ワタ属の多年草植物「ワタ」の果実です。

      「ワタ」は草丈60から120cmほどで、7月から9月頃、フヨウやハイビスカスに似た花を咲かせます。花色は、白・ピンク・クリーム色などがあり、花芯が濃いピンクのものもあります。秋に熟した果実がはじけ、中から白い綿毛が現れます。これが花のように見えることから綿花と呼ばれるようになりました。

      綿花は木綿(コットン)の材料となります。綿花の綿毛を取り出し、糸にして布地に織ったものがコットンです。また、ドライフラワーにすることができます。ふわふわとした姿が可愛らしく、温かみのある雰囲気から冬の飾りとしても好まれ、特にクリスマスシーズンには雪に見立てクリスマスツリーやリースなどに利用されています。

      花言葉には、「私を包んで」「優秀」「偉大」「有用な」などがあります。

      クリスマス2 クリスマス3 クリスマス4 クリスマス5 クリスマス6 クリスマス7 クリスマス8 クリスマス9 クリスマス10
  • 令和4年11月の香り
    • 野バラの実・風船唐綿・小菊・ベビーハンズ・カヤツリグサ

      カヤツリグサ(蚊帳吊り草)は、カヤツリグサ科カヤツリグサ属の一年草です。カヤツリグサ属は熱帯や温帯に広く分布し、約700種あるとされ、日本には本州から九州にかけて約20数種分布しています。

      草丈は30~50cmほどで、茎は叢生して断面は三角形です。根元に数枚の細長い葉を付け、茎の先端に多数の小穂を付けます。ほとんどが道端や田畑など日当たりの良い草地に生える雑草ですが、観賞用や敷物用、食用として栽培される種類もあります。同属のカミガヤツリの別名は「パピルス」で、北アフリカを原産とし、古代エジプトで紙の原料として使われました。

      別名をマスクサ(枡草)といい、茎を裂いて四角形をつくり、それを蚊帳や枡に見立てたことに由来しています。花言葉は「伝統」「歴史」です。

      花材:野バラの実・風船唐綿・小菊・ベビーハンズ・カヤツリグサ

  • 令和4年10月の香り
    • ナンキンハゼ

      ナンキンハゼは、中国を原産とするトウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木です。紅葉がとても美しく、庭木や街路樹、公園樹として広く植えられています。暖地性の樹木であり暖かな地域できれいに色づく特徴から、関東より西の地域でよく見かけられます。

      樹高は成長すると15mほどにもなります。葉は先端が尖った菱形状卵形で、11月頃には赤や黄色、オレンジ色、紫色に色付きます。開花時期は6月~7月頃で、枝先に6~18cmの花穂を付け黄色い花を多数咲かせます。花の後の果実は三凌(さんりょう)のある扁球形で、秋になると黒褐色に熟して果皮が劣開し、3個の種子を出します。種子は白い蝋質の仮種皮に包まれ、冬になっても枝先に残ります。

      ナンキンハゼは、江戸時代に蝋を取る有用樹として中国から渡来しました。かつて日本ではウルシ科のハゼノキから、中国ではナンキンハゼから蝋を採取していました。ナンキンハゼという名前には「ハゼと同様に蝋が採取できる中国の木」という意味が由来となっています。

      花言葉は、「真心」「心が通じる」です。

      今回は、葉が落ち、黒い果皮が弾けて白い種子が顔をのぞかせているナンキンハゼをハロウィンのディスプレイに使用しました。

      ハロウィン1 ハロウィン2 ハロウィン4 ハロウィン3
  • 令和4年9月の香り
    • ノバラの実・ヒオウギの実・イガナス

      イガナスはナス科チョウセンアサガオ属のヨウシュチョウセンアサガオの実です。ヨウシュチョウセンアサガオは熱帯アメリカ原産の一年草で、草丈は60~150cmほどになります。茎は枝分かれし、互生(互い違い)する葉は長さが8~15cm、幅が4~9cmの広卵型で、先が尖り縁には不規則に大きく尖った鋸歯があります。夏から秋にかけて葉のわきに花枝を持った10~15cmほどの漏斗状の淡い紫色の花を上向きに咲かせます。花は夕方開き、朝にはしぼんでしまう一日花です。実は直径3cmほどの卵形で、トゲに覆われ、熟すと4片に裂開し、中には3mmほどの扁平で黒い種子が多数入っています。

      現在、世界各地の熱帯から亜熱帯の地域で帰化・野生化し、道端や農地、荒れ地、草地などで雑草として見ることができます。日本には明治時代の初めに薬用・観賞用として導入・栽培されました。現在、日本各地に自生しているものは、戦後の輸入穀物に混入していた種子がその由来となったとされています。

      ヨウシュチョウセンアサガオの近縁種に「チョウセンアサガオ」があります。チョウセンアサガオは、江戸時代、医師の花岡青洲が世界で初めて乳がん摘出手術した際、様々な薬草を調合し作った麻酔薬の主材料に使われたことでも知られています。またチョウセンアサガオに含まれる「アルカロイド」は製剤原料にもされるため誤って摂取しないように呼びかけられています。

      和名の「ヨウシュチョウセンアサガオ」の由来は、「ヨウシュ」と「チョウセン」が渡来したことを意味し、花の形が「ヒルガオ科のアサガオ」に似ていたことから付けられています。イガナスの花言葉は「偽りの魅力」「愛敬」「夢の中」などがあります。

      花材:ノバラの実・ヒオウギの実・イガナス

  • 令和4年8月の香り
    • ヒオウギの実・ヒマワリ・ワレモコウ

      「ぬばたま」はアヤメ科アヤメ属のヒオウギの種子です。ヒオウギの原産地は南アジアから東アジアで日本にも自生し、古くから庭植えや生け花の花材として親しまれてきました。

      ヒオウギの花は朝開き夕方には閉じる一日花で次々に花を咲かせ続けます。その果実は3cmほどの袋状で、熟すと3つに割れ中から5mmくらいの丸く艶やかな黒い種子が10~20個顔をのぞかせます。この種子が「ぬばたま」と呼ばれています。由来は烏の羽のような黒さであったことから「烏羽玉(うばたま)」と呼ばれ、それが変化し「ぬばたま」となったという説や、ヒオウギが「ぬば(野羽)」という黒色を意味する古い言葉で呼ばれていたことからその種子を「ぬばたま」と呼んだという説があります。万葉集では「黒」や黒を含む語である「黒髪」、黒に関連する語である「夕」・「夜」・「暗」・「闇」・「髪」、そして夜のものである「月」や「夢」にかかる枕詞として80種に読まれています。

      ヒオウギについては「2012年7月の季節の香り」にも掲載しています。以前は、ヒオウギはアヤメ科ヒオウギ属に分類されていましたが、近年の遺伝子解析の結果から現在はアヤメ属に編入されています。

      花材:ヒオウギの実・ヒマワリ・ワレモコウ

  • 令和4年7月の香り
    • ブルーベリー・瑠璃玉アザミ・アリアム・ヒマワリ・リキュウソウ

      瑠璃玉アザミは南ヨーロッパからアジアに自生するキク科エキノプス属の多年草です。 草丈は1m前後になり、アザミに似た葉は、深く裂け縁にトゲがあります。茎は白く短い毛で覆われ、長く伸びたその先に青紫または白い小さな花が球状にまとまって咲きます。蕾は針状で、上部から順に咲き、花が散った後も球状の形が長く残ります。瑠璃色(紫色を帯びた濃い青色)の玉のような花を咲かせアザミに似た葉を付ける花姿から和名の「瑠璃玉アザミ」は付けられています。また、属名の「エキノプス」はギリシャ語の「ハリネズミに似る」という言葉に由来しています。

      エキノプス属には約120種類ほどあります。瑠璃玉アザミとして栽培・流通しているのはヨーロッパ原産の「リトロ」種になりますが、よく似た近縁種の「ヒゴタイ」が西日本や九州の特定箇所に自生しています。ヒゴタイは氷河時代から分布する植物と言われ、江戸時代中期から栽培されていましたが、2007年に絶滅危惧種に登録されています。

      花言葉は「鋭敏」「傷つく心」「独り立ち」「豊かな感情」などがあります。

      花材:ブルーベリー・瑠璃玉アザミ・アリアム・ヒマワリ・リキュウソウ

  • 令和4年6月の香り
    • ブルーベリー・アーティチョーク・カンガルーポー

      アーティチョークは、地中海沿岸を原産とするキク科チョウセンアザミ属の多年草です。茎は太く棘が付き、草丈は大きいものでは2mを超えます。葉は羽状に深く裂け、長さ80cmほどになりロゼット状に大きく広がります。花蕾は8~15cmにもなり、初夏から秋にかけ紫色や青色のアザミに似た大きな花を咲かせます。

      原種は野生のアザミで、古代ギリシャ・ローマ時代以降に品種改良が進みました。15世紀にイタリアナポリ近辺で本格的な栽培が始まり、16世紀にはヨーロッパ全域に広がりました。日本には江戸時代にオランダから渡来しましたが、栽培環境が合わなかったため普及せず、現在も日本では主に観賞用植物として栽培されています。日本ではイタリア料理やフランス料理などで利用されている印象が強い食材ですが、欧米ではポピュラーな野菜です。開花直前の蕾の萼の付け根と花托が食用とされますが、可食部分は蕾全体の2割ほどで、また収穫時期も5月~6月の1か月程度とされています。

      アーティチョークは和名の「チョウセンアザミ」でもよく知られています。渡来当時、「チョウセン」は「外来」を指す言葉としても使われており、「外来のアザミ」という意味で付けられています。花言葉には「傷つく心」「警告」「独立独歩」「厳格」などがあります。

      花材:ブルーベリー・アーティチョーク・カンガルーポー

  • 令和4年5月の香り
    • ギガンジウム・カラー・リキュウソウ

      利休草(リキュウソウ)はビャクブ科ビャクブ属のツル性多年草です。茎は伸びた先端がツル状になり、草丈は1m以上になります。葉は光沢のある楕円形で3~4枚輪生します。

      初夏に1cmくらいの淡緑色の花を咲かせます。花柄が葉柄と合着しているので葉の上に花が咲いているように見えます。

      学名「Stemona japonica」は、ギリシャ語の「雄蕊(おしべ)」という意味の「stemon」に由来するといわれています。「Japonica」とありますが原産国は中国で、江戸時代に中国から日本に渡来しました。薬草として栽培され、塊茎のできる根を煎じて駆虫薬に用い、切り枝は「利休草」の名で茶花や生け花の花材として利用されました。

      花言葉は「奥ゆかしさ」です。

      花材:ギガンジウム・カラー・リキュウソウ

  • 令和4年4月の香り
    • デルフィニウム(エラータム系・シネンセ系)、トルコキキョウ

      デルフィニウムはキンポゲ科デルフィニウム属の草花です。ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、熱帯アフリカの山地におよそ250種が分布しています。

      草丈は品種により30~150cmと異なります。花色は涼やかで美しい青・水色・紫・ピンクなどがあり、春から初夏頃に開花します。耐寒性が強く本来は多年草ですが、高温多湿を嫌うため日本では夏を越せず一年草として扱われています。

      デルフィニウムは17世紀ころから品種改良が進み、現在では1000種を超える園芸品種が存在します。そのため原種をもとに品種の系統が分けられています。代表的なタイプにエラータム系・シネンセ系・ベラドンナ系があります。エラータム系はデルフィニウム主流の系統で草丈は1mを超え、直線的に一重や八重咲きの花を穂状に咲かせます。シネンセ系は草丈が30~80cm、枝分かれした先に一重の花を咲かせるスプレータイプになります。ベラドンナ系は、両者の中間的なタイプで1m前後の草丈に大輪の花を咲かせます。今回の生け花ではエラータム系とシネンセ系を使用しています。

      「デルフィニウム」の語源は、ギリシャ語でイルカを意味する「Delphis」です。距(きょ)と呼ばれる萼片(がくへん)の裏側の突起や蕾の形がイルカに似ていることによります。また、和名は「オオヒエンソウ(大燕草)」と言い、花の形が燕に似ていることから付けられています。

      花言葉は「高貴」「生命」です。

      花材:デルフィニウム(エラータム系・シネンセ系)、トルコキキョウ

  • 令和4年のさくら
    • 患者様に桜の季節を感じて頂きたく桜を飾りました!
      桜の種類は「御殿場桜」です。

      当院職員からも桜が見事すぎて「作り物では!」との声もでる程でした。

      御殿場桜
  • 令和4年3月の香り
    • レンギョウ・宿根スイトピー・マム

      「レンギョウ」は一般にモクセイ科レンギョウ属の植物の総称です。中国大陸・朝鮮半島・日本原産の落葉性低木広葉樹で、原種が7種と園芸用に交配された数種の雑種があり、日本にはシナレンギョウ・チョウセンレンギョウ・アオノコレンギョウなどが広く植えられています。樹高は1.5~3mほどまで育ち、枝は半ツル性で湾曲して伸びます。

      また竹のように節を持ち、枝の髄が早期に消失して節の部分以外が中空になる特徴があります。「枝の中が空の木」であることから「連翹空木(レンギョウウツギ)」という別名が付いています。3月中旬から4月の早春、葉より先に、枝を埋め尽くすほどたくさんの2~3㎝の鮮やかな黄色い花を咲かせます。花は基部から深く4つに裂ける合弁花といわれるタイプでやや斜めに開きます。

      和名の「レンギョウ」は漢名「連翹」を音読みしたものです。しかし原産国の中国では連翹とはトモエソウ(大連翹)またはオトギリソウ(小連翹)を指し、日本で連翹と言われている植物は漢名を黄寿丹(旱連翹)といいます。これらのすべての実が薬用に使われていたことから日本が勘違いし誤用したと言われています。日本への渡来時期は「出雲国風土記」記載があることから平安時代に薬用として渡来した説や、江戸時代に渡来し観賞用として栽培されたなど諸説あります。

      花言葉は「希望」「期待」「集中力」です。

      花材:レンギョウ・宿根スイトピー・マム

  • 令和4年2月の香り
    • アオモジ・グロリオサ・ラナンキュラスラックス

      ラナンキュラスは西アジアからヨーロッパ東南部、地中海沿岸を原産とするキンポウゲ科キンポウゲ属の秋植えの球根植物です。原種であるアジアティクス種が16~17世紀にヨーロッパで改良され日本には明治時代中頃に渡来しました。当時は花径が小さく花弁数も少ないものでしたが、年々改良が進み現在では500種以上の品種が生まれ、大きさや咲き方、花色はとても豊富です。一般的には幾重にも重なる花弁がふんわりと開く八重咲がよく知られていますが、モロッコシリーズやラックスシリーズなど人気の品種がシリーズ化した品種群があることも特徴の一つです。

      今回はラナンキュラスのラックシリーズを花材として用いています。ラックスシリーズは、花弁にシルクのような艶があり、光が当たると輝いているように見えます。一重から半八重のスプレー咲きで次々花が開き、花色は咲き始めが濃く咲き進むにつれシルバーやゴールドのような模様が出て輝きます。

      「ラナンキュラス」の名は葉がカエルの足に似ていることや、ラナンキュラス属の多くが湿地帯を好むことからラテン語の「ranaカエル」が語源になっていると言われています。また「ラックス」というシリーズ名は花弁が光ることから「ラナンキュラス+ワックス」が由来となっています。

      ラナンキュラスの花言葉には「とても魅力的」「華やかな魅力」「純潔」などがあります。

      花材:アオモジ・グロリオサ・ラナンキュラスラックス

  • 令和4年1月の香り
    • 竹・梅・葉牡丹・ピンポンマム・孔雀羽根

      竹はイネ科タケ亜科に属する植物のうち茎が木質化する種の総称です。赤道を中心とする温暖で湿潤な地域に広く分布する多年性常緑植物で約1300種が確認されています。日本においても各地に分布し約600種が存在しています。竹は地下茎によって繁殖します。地下茎の節にある芽から筍が伸びることで生育域を広げていきます。あまり目にする機会がありませんが、稲穂に似た花を咲かせます。モウソウチクで60年、マダケで120年に一度咲かせるといわれ、開花すると群生している竹が一斉に枯れてしまうと言われています。

      竹の成長が早く真っ直ぐに伸びる様は生命力の象徴とされ、縁起の良い植物としてお正月の飾りなどにも用いられています。筍が3カ月で20メートルほどの大きさになり、3年程で資源としての利用が可能になります。また、しなやかで丈夫という素材の特徴から古来より農業や漁業の道具、生活用品や建材、楽器・茶道華道具など日常の様々な道具として利用されてきました。古くは縄文時代の遺跡から竹から作られた製品が出土され、古事記や日本書紀にはタケノコが食用や薬用に利用された記録があります。

      竹(たけ)の和名は高く成長することから「高(たか)」または「丈(たけ)」が語源となり、ぐんぐん成長することから「長生(たけおふ)」と呼ばれていたものが転訛したと言われています。花言葉は節度」「節度のある」です。

      花材:竹・梅・葉牡丹・ピンポンマム・孔雀羽根

令和3年 季節の香り

  • 令和3年12月の香り
    • 白塗りドウダンツツジ・カスミソウ・モミ・トルコキキョウ・アンスリウム

      モミ(樅)はマツ科モミ属の常緑針葉樹です。モミ属は寒冷地に分布する種類が多いのですが、モミは温帯に分布し北は秋田県から南端は屋久島に見られています。樹高が40mに達するものもあり、枝は同じ高さから輪生します。葉は細くて硬い針状で、松かさは10~15cmと大きくなります。

      モミの木といえばクリスマスツリーを思い浮かべる人が多いと思います。クリスマスツリーの由来や起源には諸説ありますが、記録としては15世紀のドイツで飾られたクリスマスツリーについての記述が残っており、キリストの降誕を知られたベツレヘムの星やアダムとイブの知恵の樹の実であるリンゴを模し飾られたとされています。また、日本では1860年にプロセイン王国公館が飾ったのが最初とされ、大正から昭和時初期に民間に浸透していったとされます。

      モミの名前の由来は、風にもみ合うことから「揉む」を意味する、また萌黄が見事であることから、神聖な木で信仰の対象になっている「臣木(おみのき)」を語源とする、などがあります。花言葉には「正直」「誠実」「永遠」などがあります。

      花材:白塗りドウダンツツジ・カスミソウ・モミ・トルコキキョウ・アンスリウム

  • 令和3年クリスマス
    • 令和3年のクリスマスです。すごくいいですね!

      Xmas1 Xmas2 Xmas3 Xmas4 Xmas5 Xmas6 Xmas7 Xmas8
  • 令和3年11月の香り
    • キク7種・レースフラワー

      キクは世界三大花に謳われ、日本においても桜に並ぶ伝統的な国花として親しまれています。また国内の切り花総生産量の4割を占めるとされています。お供え花としてのイメージが強くありますが、品種改良が重ねられ毎年のように美しいものが新たに登場しています。

      日本には原産国の中国より8~9世紀ころ白いキクが伝えられ、宮中や貴族の間で観賞用や薬用に用いられました。桃山時代には黄色や桃色のキクが生まれ、江戸時代には広く庶民に普及し品種改良が進みました。日本独自に品種改良されたものを「和菊」といい、一本の茎に一輪の花を咲かせる輪菊と小菊があります。また幕末のころ、欧米に渡り品種改良が進められたものを「洋菊」と分類、ヨーロッパでスプレーマム、アメリカでポットマムか生み出されました。その後もオランダを中心に品種改良は進み続け、ポンポン咲き・デコラ咲き・スパイダー咲き・一重先・アネモネ咲き・スプーン咲きなど多様な咲きかたが生まれました。昭和に入りキクは「マム」と名前を変え日本に再上陸します。マムとは学名 Chrysanthemum(クリサンセマム)の略でギリシャ語の「黄金の花」に由来し、洋菊を指します。その後も改良は進み、現在では丸い形のピンポンマムや、緑色や青色のマム、クラッシクマムと呼ばれる華やかな大輪のマムが産出されています。古典的な菊の改良から生まれたマムはダリヤと見間違えるほどの華やかさや艶やかな花色の中にどこか和の雰囲気を感じ、また輪菊の花型の中に洋のテイストを感じます。古くから日本人に親しまれ改良され続けるキクを、大切に愛でまた新たな出会いを楽しみたいものです。

      花材:キク7種・レースフラワー

  • 令和3年10月の香り
    • 風船唐綿、ひまわり、フォックスフェイス、カラテア・インシグニス

      「カラテア・インシグニス」はブラジル原産のクズウコン科カラテア属の常緑多年草です。赤道に近い熱帯アメリカに約300種が自生しています。葉にエキゾチックな模様が入るものが多く観葉植物として親しまれています。細長い葉は、縁が波打ち先端が尖ります。草丈は40㎝ほどですが、自生地では1.5mほどになります。葉表は明るい淡緑色で、濃緑色の大小の斑が矢羽根状に入り、葉の裏は濃い赤紫をしています。

      「カラテア・インシグニス」は、昼は葉の付け根から曲がり葉の表を見せ、夜になると葉が上に向かい立ち上がり葉の表を見せる「不眠運動」という特徴的な動きをし、昼と夜では全く異なる色彩の雰囲気を楽しめます。またその動きが祈っているように見えることから「祈りの植物」とも呼ばれています。

      別名の「カラテア・ランキフォリア」でも流通しており、和名は「矢羽紫背姫芭蕉(やばねしはいひめばしょう)」です。

      花言葉には「温かい心」「強い想い」「飛躍」などがあります。

      花材:風船唐綿、ひまわり、フォックスフェイス、カラテア・インシグニス

  • 令和3年9月の香り
    • ミズヒキ・アルストロメリア・フジバカマ・ワックスフラワー・ネリネ・パラノムス・ドラセナ

      ミズヒキはタデ科ミズヒキ属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国、インドシナ半島を原産とし、日本では全国の山地や藪、水辺などに分布しています。普段は雑草に混ざり目立ちませんが、夏の終わりから晩秋にかけて咲く花は可愛らしくとても存在感があります。

      草丈は30㎝ほどになり楕円形で先の尖った葉を互い違いに付けます。葉の表面は短い毛で覆われ、タデ科特有の逆V字型の黒い模様が入るものもあります。
      葉の脇を40~80㎝ の細長い花茎が伸び、直径2~3㎜ の小さな赤い花をまばらに付けます。花に花弁はなく花弁状の萼が深く4つに裂け、この内の3枚が赤く1枚が白色です。そのため、上からは赤く、下からは白く、そして横からは紅白に見えます。この花の姿から紅白の水引紐に見立て「ミズヒキ」の名前が付けられました。混同を避けるための別名の「ミズヒキソウ(水引草)」で知られています。また、萼に紅白が混ざるものは「ゴショミズヒキ(御所水引)」、萼が白いものは「ギンミズヒキ(銀水引)」、別種のバラ科になりますが草姿が似ていて黄色の花を咲かせるものは「キンミズヒキ(金水引)」と呼ばれます。

      花言葉は「慶事」「祭礼」です。

      花材:ミズヒキ・アルストロメリア・フジバカマ・ワックスフラワー・ネリネ・パラノムス・ドラセナ

  • 令和3年8月の香り
    • 高野槙、百合、アンスリウム

      ユリはユリ科ユリ属の多年草の総称です。北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの温帯や亜寒帯にかけて広く分布しています。原種は100 種以上、品種は約130品種ほどあります。日本には15種が自生しており、そのうち7種が日本特産種です。代表的なものはヤマユリやササユリ、テッポウユリ、オトメユリなどで、開花期は5月から8月頃になります。夏以外に出回るものは品種改良された園芸品種で花色や種類が豊富にあります。

      東洋ではユリの花が観賞されるようになったのは明治30年ころからで、それ以前は食用や薬用に用いられていました。幕末にシーボルトがテッポウユリの球根をヨーロッパに伝えると、復活祭に用いられイースターリリーとして大流行します。ヨーロッパにも十数種類の原産種が分布していますが、代表的なユリはテッポウユリの近縁種のニワシロユリです。別名マドンナリリーと呼ばれ、数多くのキリスト教絵画に聖母マリアの象徴として描かれ、また教会花として用いられました。

      女性の美しい立ち振る舞いをたとえた「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」ということわざがあります。これは、芍薬はすらりとした茎の先に花を咲かせることから立ち姿、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花を咲かせることから座った姿、百合は風に揺れる姿が美しいことから歩く姿を表していると言われています。その他にも、芍薬は立って、牡丹は座って、百合は歩きながら見るのが最も美しく感じるという説もあります。また、ヨーロッパにおいては、バラ、ユリ、スミレが聖母に捧げられた特別な花として扱われています。バラは「美」ユリは「威厳」スミレは「謙虚」「誠実」表すと言われ、この3つを兼ね備えた人が理想的な女性されています。

      ユリの名は、茎が細く花が大きいため風が吹くと花が揺れることから「揺すり」と言われ、それが転じて「ユリ」と呼ばれるようになりました。また漢字の「百合」は、ユリの球根である「ユリ根」がおよそ百枚もの鱗片が重なり合っていることに由来しています。百合の花言葉は種類や色により様々ですが、全体的にみられる代表的な花言葉は、「純潔」「無垢」「威厳」などです。

      花材:高野槙、百合、アンスリウム

  • 令和3年7月の香り
    • クレマチス・エキナセナ

      「クレマチス」はキンポウゲ科センニンソウ属の多年草つる植物です。北半球の温帯地域、ニュージーランドなどに広く分布しています。原種だけでも約300種類が存在し、日本でも約25種類の自生が確認されています。たくさんの野生種や原種が交配し多くの品種が生まれました。改良が進められ現在では2000種を超えると言われています。そのため品種により花の形、開花時期、成長サイズ、性質など全く異なります。花は、花弁が退化し萼が花弁のように見える特徴があります。咲き方は小さく可憐なものから大輪のもの、一重咲きや八重咲、ベル型、チューリップ咲きなどあり、花色も紫・青・白・赤・ピンク・黄色・茶色と様々です。草丈は20~300cmと幅広く、常緑性のものや落葉性のものもあります。また、年に一度だけ花を咲かせる一季咲き、長期間次々と花を咲かせる四季咲き、冬に花を咲かせる冬咲きなどの豊富な種類があります。

      一般的にクレマチスはキンポウゲ科の植物の総称ですが、日本ではセンニチソウ属のつる性多年草のうち花が大きく観賞価値の高い品種だけを指します。

      クレマチスには「カザグルマ」や「テッセン」などの別名がありますが、カザグルマは日本原産の、テッセンは中国原産の品種になります。テッセンは16世紀以前に中国から渡来したといわれ、江戸時代には国内でカザグルマやテッセンの園芸品種が多く作られました。それが19世紀にシーボルトによりヨーロッパに伝えられ、今日に至るまでヨーロッパにおいての品種改良の基となっています。

      クレマチスの語源は、ギリシャ語の「klema(クレマ)つる」で、花言葉は「精神伸び」「創意工夫」「策略」「旅人の喜び」などがあります。

      花材:クレマチス・エキナセナ

  • 令和3年6月の香り
    • カンガルーポー・エルムレス・リューカデンドロン

      カンガルーポーは、アニゴザントス属ハエモドルム科の多年草です。オーストラリアが原産で、オーストラリア南西部に約11種類が自生しています。

      草丈は種類により異なり30~100cmほどで、地際から剣状の葉を出し、花茎を長く直立させ先端に花を咲かせます。花は先端が6つに開いた筒状で、花色は赤・ピンク・黄色・グリーン・オレンジなどがあり年に一回花を咲かせます。近年見かける黒い花の「ブラックカンガルーポー」は別属になります。

      花や茎には細かい毛が密集し、その姿をカンガルーの脚に見立てて、カンガルーポー(カンガルーの脚)と呼ばれています。カンガルーポーは正式には「アニゴサントス」という名称で、ギリシャ語で「開いた花」を意味し、花姿に由来します。

      花言葉は「不思議」「驚き」「陽気」などがあります。

      花材:カンガルーポー・エルムレス・リューカデンドロン

  • 令和3年5月の香り
    • ドウダンツツジ・グロリオサ・バラ

      ドウダンツツジは日本を原産とするツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木です。樹高は1~3mほどで、枝は細かく分かれ、枝先に5~6枚の葉が輪生状につき互生します。葉は長さが2~4㎝幅1㎝ほどの菱形に近い長楕円形で、縁にはギザギザがあります。4月から5月頃、新芽のライトグリーンがとても美しく、秋になると真っ赤に紅葉します。葉の芽吹きとほぼ同時期にベル型の小さな花を小枝の先に垂れ下がるようにたくさん咲かせます。花色は白・淡いピンク・紅色があります。新緑・花季・紅葉と季節により表情を変え見頃の多い花木と言えます。

      ドウダンツツジは漢字では「灯台躑躅」「満点星(どうだん)躑躅」と表記されます。「灯台躑躅」は、枝分かれの様子が古い時代に宮中行事で用いられた「結び灯台」の脚部と似ており「トウダイ」が訛り転じたものと言われ、「満点星」は真っ白な花が株全体を覆う姿から星空を連想したという説と中国の故事に由来する説があります。

      とても丈夫で害虫が付きにくく芽吹きもよいため公園や道路脇の植え込み、庭木として幅広く利用されています。最近では日持ちの良さや涼しげで爽やかな見た目から店舗のディスプレイやリビングなどの空間装飾としても人気があります。そして落葉後はカラースプレーされたクリスマスシーズンのディスプレイとしてもよく見かけられます。

      花言葉は、「上品」「節制」「私の思いを受けて」などがあります。

      花材:ドウダンツツジ・グロリオサ・バラ

  • 令和3年4月の香り
    • オーニソガラム、デルフィニウム、リキュウソウ、スプレーバラ

      オーニソガラムはキジカクシ科の球根植物です。原産地はヨーロッパやアフリカで約100種類が分布しています。園芸ではおよそ30種が栽培され、ヨーロッパ原産の耐寒性とアフリカ原産の半耐寒性に大別されます。種により形状が異なります。高さは10~100cmほどで、球根から20~60㎝の細長い葉を出し、その中心から花茎が真っ直ぐ伸びます。4月~5月ころ先端に六弁の星型花を多数咲かせます。花色は白や乳白色、黄色、オレンジなどがあります。

      日本には、明治時代に渡来し栽培されるようになりました。現在では、主に「サンデルシー」「ダビウム」「アラビカム」「シルソイデス」が流通しています。

      オーニソガラムはギリシャ語のオルニス(鳥)とガラ(乳)が語源となっています。別名では、キリスト誕生の夜に光輝いたといわれている「ベツレヘムの星」に例えられることから英名は「スター・オブ・ベツレヘム」と付けられ、和名は甘菜(アマナ)の花に形が似ていることから「オオアマナ」、フランスでは 11時に花が開き、夜になると閉じるため「11時の貴婦人」と呼ばれています。

      花言葉は「純粋」「才能」「無垢」「希望」などがあります。

      花材:オーニソガラム、デルフィニウム、リキュウソウ、スプレーバラ

  • 令和3年3月の香り
    • 啓翁桜

      桜は、日本を象徴し、また春を象徴する花といえます。古来より人々は桜の蕾の膨らみを心待ちにし、咲き始めの可憐さや、満開の姿、そして散り舞う桜吹雪の美しさに心惹かれ、魅了されてきました。今春、当院では啓翁桜・染井吉野・八重桜の3種の桜を飾らせていただきました。

      啓翁桜

      啓翁桜(ケイオウザクラ)は支那実桜と彼岸桜の交配により作られました。スプレー状になった枝がまっすぐに伸び、やや小ぶりで淡い紅色の花を付けます。観賞用としての需要が高く、促成栽培により開花時期を調整され市場に出回り、「冬に咲く桜」とも呼ばれています。名前は交配者である「吉永啓太郎氏」から一字とり付けられました。

      染井吉野

      染井吉野(ソメイヨシノ)は、江戸彼岸桜と大島桜の交配により生まれました。江戸時代末期から明治時代初期にかけ、現在の東京都巣鴨付近にあった染井村に住む植木職人たちにより育成され、桜の名所である大和の吉野山に因み吉野桜として広められましたが、吉野山の山桜と区別するために「染井吉野」と命名されました。昭和時代の高度成長期には日本全国の公園や河川敷、街路、学校などに広く植栽され、桜の代表品種とも言えるほどよく知られ桜前線の基準にもなっています。また、染井吉野は接ぎ木や挿し木によってのみ増やすことができます。言い方を変えれば、世界中にある染井吉野はすべてが同じ原木から作られ同じ遺伝子を持つ「クローン」ともいえます。故に環境条件が整えば開花時期をほぼ一斉に迎え、満開に咲き乱れる美しい景色を楽しむことができるのです。

      八重桜

      通常の桜の花弁が5枚であるのに対し、6枚以上の花弁を持つ桜を総じて八重桜(ヤエザクラ)と呼びます。江戸彼岸桜や大島桜に由来するものが多く、やや大きめで丸くふんわりとした花を付けます。染井吉野の開花時期より1~2週間遅く開花します。染井吉野が葉より先に花を咲かせるのに対し、八重桜は花と同時に葉をつけるものが多く、開花から散り初めまでの期間が長いという特徴があります。品種改良によって生み出されているものが多いため山桜に対し「里桜」、花の姿が牡丹に似ていることから「ボタン桜」とも呼ばれます。

      桜の花言葉は「豊かな教養」「善良な教育」「淑やか」「純潔」などがあります。

  • 令和3年2月の香り
    • トウロウソウ(グリーンアップル)・ラナンキュラスラックス・サンダーソニア

      トウロウソウ(灯籠草)は南アフリカ原産のベンケイソウ科カランコエ属トウロウソウ亜属の常緑多年草です。熱帯から亜熱帯に広く分布し、日本の西南諸島や小笠原諸島の海岸にも帰化しています。

      草丈は1~2mで茎先に円錐状に多数の花を下向きに咲かせます。その1つ1つは長さ3㎝ほどの筒状の萼(ガク)に包まれた蕾が徐々に膨らみ、下部が四割し花冠をのぞかせます。葉は多肉質な楕円形で、縁がギザギザとした鋸歯になっています。通常は単葉ですが生育が良いと3~5枚の奇数の複葉になることもあります。葉は枝から離れた後、地表や水中などで縁から不定芽を出す特徴があります。その性質から、「ハカラメ(葉から芽)」「マザーリーフ」などと呼ばれています。その他「セイロンベンケイ」という別名でも知られています。トウロウソウの名前の由来は花の形を灯籠に見立てたことによります。

      花言葉は「静寂」「平穏無事」「無言の愛」などがあります。

      花材:トウロウソウ(グリーンアップル)・ラナンキュラスラックス・サンダーソニア

      トウロウソウ(グリーンアップル)・ラナンキュラスラックス・サンダーソニア
  • 令和3年1月の香り
    • チューリップ・スプレーバラ・ブエル―スター・レースフラワー・
アストランティア・キリタンサス・アリアムスネイク

      「キリタンサス」は南アフリカを原産国とするヒガンバナ科キルタンサス属の球根植物で45~50種が自生しています。種により形態や性質が大きく異なり、冬咲きや夏咲き、花形も筒形・壺形・盃状・下垂咲き・上向き咲きなど様々です。日本で代表的な品種は秋から晩春にかけて咲く「マッケニー」で、他にも夏咲きの「エラスタ」が知られています。

      草丈は20~50cmになります。真っ直ぐ伸びる茎の先に細長い筒状の湾曲したラッパ様の花が集まり咲きます。花色は、赤・オレンジ・白・ピンク・黄色などがあります。

      日本には明治時代の終わりころに渡来し、冬の切り花として生産されていましたが一般への普及はなかなか進みませんでした。半耐寒性で手がかからず冬の間次々と咲き続け、毎年花を咲かせることから近年になり人気が集まっています。

      花名の「キリタンサス」はギリシャ語の「曲がった花」という意味の言葉で、別名には「笛吹水仙」「ファイヤーリリー」などがあります。
      花言葉は、「隠れた魅力」「屈折した魅力」「恥ずかしがりや」「ロマンティック」などです。。

      花材:チューリップ・スプレーバラ・ブエル―スター・レースフラワー・ アストランティア・キリタンサス・アリアムスネイク

令和2年 季節の香り

  • 令和2年12月の香り
    • 雲竜柳・グロリオサ・オンシジウム・ユーカリ

      オンシジウム(オンシジューム)は、中南米の熱帯地域を原産とするラン科オンシジウム属の多年草です。世界中で品種改良が盛んに行われ現在確認されているだけでも15,000種もあり、そのうち約400種が流通しています。

      草丈は10~70㎝と品種によって異なります。直径2㎝前後の小さな花を枝先にたくさんつけます。日本では黄色の花色がよく知られていますが、最近ではオレンジやピンク・クリーム色・チョコレート色や、小型で香りのよいものから大型でボリュームたっぷりに花をつけるものまで様々な種類が見られるようになっています。

      学名の「Oncidiumオンシジウム」はギリシャ語の「ogkosこぶ・とげ」が語源となっており、花弁の基部に小さな突起があることから付けられました。ラン科の植物の花弁は「唇弁」と呼ばれ昆虫が着地しやすい独特な形をしています。この形が、雀が群れを成して飛んでいるように見えることから和名を「群雀蘭(むれすずめらん)」。蝶が舞う姿や、スカートを広げ踊る女性の姿を連想させるとして「Butterfly orchid(バタフライオーキッド))や「Dancing lady orchid(ダンシングレディオーキッド)」などの英名もついています。

      花言葉は、「可憐」・「清楚」・「一緒に踊って」・「協調」などがあります。

      花材:雲竜柳・グロリオサ・オンシジウム・ユーカリ

  • 令和2年クリスマス
    • ルピナス港南のデイサービス入口に飾ってあります。

      Xmas1 Xmas2 Xmas3 Xmas4 Xmas5 Xmas6 Xmas7
  • 令和2年11月の香り
    • パンパスグラス・水無月・風船唐綿・ドラセナ

      「みなづき(水無月)」は、日本を原産とするアジサイ科の落葉低木で、日本各地の山野や野原などでみられる「ノリウツギ」の園芸品種になります。樹高は2~3メートルになり、楕円形の葉が互い違いに生えます。開花時期は7月ころから10月ころで、白からクリーム色の装飾花を円錐形にこんもりと付ける花の形状から別名を「ピラミッドアジサイ」と言います。和名である「みなづき」は水無月(旧暦の6月)ころに咲くことに由来します。また、「みなづき」は秋になると花がピンクや赤に変わる特徴があります。寒冷地ほど色は濃くなるようです。

      花言葉は「臨機応変」です。

      花材:パンパスグラス・水無月・風船唐綿・ドラセナ

  • 令和2年10月の香り
    • ソテツ・フォックスフェイス・キク

      ソテツ(蘇鉄)はソテツ科の常緑低木です。東南アジア・中国大陸南部・日本の九州や沖縄など温暖な地域の主に岩場に約20種が自生しています。その中でも日本で見られるソテツは、学名「シカス・レヴォルタ(反巻したヤシに似た植物)」の一種のみです。寒さにはあまり強くありませんが、やせた土地でも育つので庭木としても好まれています。ソテツはジュラ紀から生息しているとされ「生きた化石」と呼ばれることもあります。1m大きくなるのに40年以上もかかると言われ、生育はゆっくりですが大きいものでは樹高8m以上になるものもあります。

      ソテツ・フォックスフェイス・キク

      幹は太い円柱型の一本幹で、最上部に羽状複葉の葉を輪状に伸ばします。雄雌異株で、雄花は幹頂に円柱状で表面に鱗片がつく花を咲かせ、雌株は綿毛に覆われた花をドーム状に咲かせます。花は10年から15年に一度しか咲かないため開花は希少なものとなります。幹同様に太い根には「シアノバクテリア」が住んでいます。このシアノバクテリアは空気中の窒素を固定する働きがあり、蘇鉄には肥料となるので痩せた土地でも育つことができます。

      「蘇鉄」という名は、枯れかかったときに鉄の釘を打ち込むと蘇るという伝承に由来します。室町時代から江戸時代にかけて権力と財力の象徴として大名の庭園には好まれて植樹されていたようです。

      花言葉は「雄々しい」です。

      花材:ソテツ・フォックスフェイス・キク

  • 令和2年9月の香り
    • 芒・竜胆・吾亦紅・女郎花・小菊

      女郎花(オミナエシ)はオミナエシ科オミナエシ属の多年草です。日本、中国、東シベリアに広く分布し、日当たりの良い山野の草地や林縁に自生しています。
      草丈は60~100cm程まで生長し、夏から秋に茎の上部で分枝した花茎の先端に黄色の小花を散房状に多数咲かせます。根は古くから生薬「敗醤(はいしょう)」として利用されてきました。これは、オミナエシの花の独特な香りを「醤油が腐敗したような匂い」に例えことから付けられた花の別名でもあります。

      オミナエシは日本では秋の七草の一つとして古くから親しまれ、万葉集や源氏物語、能の演目、松尾芭蕉の俳句など文学作品に度々登場しています。和名の由来は諸説あり、同属で白い花を咲かせる男郎花(オトコエシ)花姿に対比し全体的にやさしく女性的な印象化から名付けられたとされます。また、「おみな(女)えし(圧し)」として花の「美女を圧倒する」美しさからという説。「ヘシ」は「メシ(飯)」の転訛であり、花が粟飯の粟粒のように見えることによるという説もあり、粟飯の別名は女飯(おみなえし)と言われています。

      花言葉は「約束を守る」です。

      花材:芒・竜胆・吾亦紅・女郎花・小菊

  • 令和2年8月の香り
    • パンパスグラス・ほおずき・あおき・モンステラ

      「ほおずき」は、原産地を東アジアとするナス科ホオズキ属の一年草または多年草です。ホオズキ属の植物は、アジア、アメリカ大陸、ヨーロッパなどに約100種が分布しており、このうち「ほおずき」は日本が原産です。草丈は60から80cmほどになり、淡い黄色の花を5月から6月ころ咲かせます。花が受粉すると果実だけでなくガクも発達して袋状に果実を包み込み、8月ころ熟してオレンジ色になります。

      開花と果実の見頃時期となる6月から9月は本各地で「ほおずき市」が開催されます。特に東京浅草の「ほおずき市」が有名で、「ほおずき市」の起源は1700年代に遡ります。浅草寺で四万六千日(4万6千日分の御利益があるとされる参拝日)にあたる7月9・10日に縁日を設けたことにならい、他の神社でも縁日が行われるようになりました。ほおずきは平安時代から鎮痛や解熱、子どもの間の虫などに効果があるとされ煎じ薬として民間で用いられていました。

      東京都港区芝の愛宕神社の縁日で「ほおずき市」が催されるとたくさんの人がホオズキを求めたことから、浅草寺でも「ほおずき市」が開催されるようになったということです。現在も夏の恒例行事として多くの人で賑わっています。また、

      ほおずきは漢字で「鬼灯」という字を当てます。これはガクに包まれたホオズキの果実を死者の霊を導く提灯に見立て、お盆に先祖が返ってくるときの目印となる提灯の代わりとして枝付きほおずきを盆棚に飾る風習に由来しています。

      花材:パンパスグラス・ほおずき・あおき・モンステラ

  • 令和2年7月の香り
    • ピンクッション・フィリカ・クロックス・リュウカデンドロン

      ピンクッションは南アフリカ沿岸部を原産とするヤマモガシ科レウコスペルムム属の株立ち性常緑小低木で樹高は1~2mになります。

      花は4月から5月ころに茎先に球状に集まって咲きます。「ピンクション」は針山という意味です。花の形を手芸で使用する針山にたくさんの針を立てた姿に見立てており、その針(ピン)の一つ一つが個々の花になります。花色は赤・オレンジ・黄色などがあり、花もちがよく6~8週間咲き続けます。

      学名は「レウコスペルムム」といい、ラテン語の「白い種」に由来しています。
      交配は鳥媒あるいは虫媒で、ピンクッションの白い種子にはアリが好むイライオソームという器官が付いておりこれを食べたアリが種子の散布をすることがよく知られています。花言葉は「どこでも成功を」です。

      花材:ピンクッション・フィリカ・クロックス・リュウカデンドロン

  • 令和2年6月の香り
    • 太藺・夏撫子

      太藺(ふとい)はカヤツリグサ科ホタルイ属の多年草です。北半球に広く分布し日本でも全国の池や沼に群生しています。大きな地下茎が横に這い、そこからまっすぐ上に向かって伸びます。茎は丸く径7~15㎜、草丈は1~2mになり、茎の根元には葉が退化した葉鞘があります。夏から初秋にかけて頂部に花房を付け、その先端に花穂をつけます。花房の基部には包が一つありますが、花序より短く目立ちません。

      太藺の名前は、「太いイグサ」という意味に由来しますがイグサとは別の種類の植物になります。古名は「大藺(おおい)」「つくもぐさ」で別名「九十九(つくも)」「丸菅(まるすげ)」と呼ばれています。

      日本では、庭園の池などで観賞用に栽培されることも多く、フトイの変種である縞太藺は花茎に白い横縞模様があり、観賞価値が高いものとして栽培されている。花言葉は「品位」「豊満」です。

      花材:太藺・夏撫子

  • 令和2年5月の香り
    • キブシ・フリージア・ププレウルム・ドラセナ

      姫リョウブは北アメリカ南東部原産のユキノシタ科ズイナ属の落葉低木です。
      アメリカ東部を中心に、湿地や森の小川、池の畔に自生しています。日本には明治時代に渡来しました。耐寒性・耐暑性に優れとても丈夫で育てやすいので現在では観賞用として世界中で広く栽培されていいます。

      樹高は1~2mになります。葉は先が尖った楕円形で縁にギザギザがあり、秋になると紅葉します。花は5~6月に枝先にブラシ状の花序を出し、小さな白い花を穂のように咲かせます。花序は4~15㎝で20~80個の花を密につけ、ほのかに甘い香りがします。

      別名にはコバノズイカ・アメリカズイナなどがあります。コバノズイナ(小葉の髄菜)という名は、日本に自生する同属のズイナ(髄菜)より葉が小さいことから付けられました。ズイナ(髄菜)の名前は枝の髄が行灯の灯心に、若菜が食用にされていたことに由来しています。リョウブ(令法)の名前がついていますが、リョウブ科のホンリョウブとは別の植物で花穂の形が似ているので姫リョウブと呼ばれています。花言葉は「少し欲望」です。

      花材:姫リョウブ・オンシジューム・カーネーション

  • 令和2年4月の香り
    • スズラン・クリスマスローズ・テマリソウ・アジアンタム・カランコエ・グリーンベル・コケ

      スズランはヨーロッパ、東アジア、北アジアが原産のキジカクシ科スズラン属の多年草です。

      日本で見られるスズランは日本原産の「二ホンスズラン」とヨーロッパ原産の「ドイツスズラン」の2種類に分けられます。二ホンスズランは耐寒性が強く、中部以北、北海道の山地や高原の草地に自生し、花が葉の下で下向きに咲きます。ドイツスズランは二ホンスズランよりも草姿、花ともに大きく、花が葉より高い位置で咲き香りが強い特徴があります。鉢花や苗で流通し国内で栽培されているほとんどがドイツスズランです。

      フランスでは5月1日を「muguetミュゲ(スズラン)の日」と呼び、愛する人やお世話になっている人へスズランの花を贈る風習があり、贈られた人には幸運が訪れると言われています。鈴の形をしたスズランの花はヨーロッパの人々の間では春のシンボルであり、幸せを呼ぶものと考えられていました。また「聖母マリアの涙」とも喩えられているそうです。

      花言葉は「幸せが訪れる」「純粋」です。

      花材:スズラン・クリスマスローズ・テマリソウ・アジアンタム・カランコエ・グリーンベル・コケ

  • 令和2年3月の香り
    • キブシ・フリージア・ププレウルム・ドラセナ

      キブシ(木五倍子)は日本・中国を原産国とし東アジアに広く分布するキブシ科キブシ属の落葉低木です。
      日本では北海道から九州の山野に自生しています。

      雄雌異株で樹高は3mほどになります。早春、葉から先に小さな釣鐘形の花を房状に付けた花茎を枝にたくさん咲かせます。
      花色は雄花が淡黄色、雌花は緑色になります。

      6月頃になると7~12mmの球形の緑色の果実を付け、秋に黄褐色に熟します。果実からは染料の原料であるタンニンが取れます。
      キブシ(木五倍子)の名は果実を黒色染料の原料である五倍子(ふし)の代用に使ったことに由来します。

      染織やインク製材の他、かつては歯を染める「お歯黒」にも使われていました。
      また和名は「キフジ(黄藤)」といい、枝から垂れ下がる花の姿が藤の様であることから付けられています。

      花言葉は「待ち合わせ」「出会い」です。

      花材:キブシ・フリージア・ププレウルム・ドラセナ

  • 令和2年2月の香り
    • サクラ・キイチゴ・アルストロメリア・バラ

      アルストロメリアは南米を原産とするアルストロメリア属ユリズイセン科の球根性の多年草です。
      チリを中心にブラジル・ペルー・アルゼンチンなどに60~100種類の野生種が自生しています。

      草丈は30cmから1mほどで、真っ直ぐ伸びた茎の先端にユリに似たスプレー咲きの花をたくさん付けます。
      花は6枚の花弁を付け、外側の3枚は丸みがあり大きく、内側3枚のうち上2枚にスポットと呼ばれる縞模様が入るのが特徴です。
      これは、虫を呼び寄せて自分の花粉を運んでもらうために入った模様だとされています。

      花色は白・オレンジ・ピンク・赤など多彩で、茎から出る葉は付け根のところで180度ねじれ裏面が上を向くという変わった付き方をします。
      学名「アルストロメリア」は、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネが南米を旅行中に種を採取し、 友人のクラース・アルストレーマーの名前にちなんで付けました。また原産地と花姿から「ペールのユリ」「インカ帝国のユリ」などの異名があり、和名では「ユリズイセン(百合水仙)」と呼ばれています。
      アルストロメリアは、オランダやイギリスで品種改良が進められ、多くの園芸品種が生まれました。

      日本には大正時代に伝わりましたが広く普及されるようになったのは近年なってからで、現在では国内でも本格的に栽培されています。

      花言葉は持続・未来への憧れ・エキゾチックなどがあります。

      花材:サクラ・キイチゴ・アルストロメリア・バラ

  • 令和2年1月の香り
    • ツバキ

      ツバキは日本を原産国とするツバキ科ツバキ属の常緑性高木です。樹高は5~10mになり、葉は先端がとがった楕円形で葉質が厚く、表面に艶があります。
      冬から春に赤・白・ピンクなどの花を咲かせます。花型は一重から八重など多様で、花の後に球形の果実を付けます。秋に熟すと厚い果皮が破れて黒い種子が現れ、この種子から椿油が取れます。

      日本では本州以南に分布しており、暖地・沿岸部にはヤブツバキ、日本海側の積雪地域にユキツバキが多く見られます。現在、ツバキは海外にも多く分布しており交配種が増え園芸品種は国内で2200種、海外で5000種以上が確認されています。

      ツバキは古来より日本人に愛され、種子(椿油)や木材は縄文時代から人々に利用されてきました。古事記や日本書記に記録が残り、万葉集にも九首歌われています。室町時代以降は武士の間に広がっていき庭園・華道茶道で使われ園芸化が進んでいきました。京都竜安寺には日本最古と言われる桃山時代のツバキが残っています。そして江戸時代、二代将軍徳川秀忠が好んだことがら、次第に庶民の間にも広がり品種が増えていきました。

      また、遣隋・唐使時代には大陸に椿油とともに伝わり東アジアへ広がっていきます。17世紀にオランダ商館のエンゲルベルト・ケンペルが欧州に紹介し、18世紀にイエズス会の宣教師ゲオルグ・ヨーゼフ・カメルがヨーロッパに持ち帰り、大変な人気を博しました。このカメルにちなみCamellia japonica(カメリア・ジャポニカ)と学名が付けられました。

      「ツバキ」という名前は、厚みのある葉を意味する「あつば木」、艶やかな葉の「つやば木」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」など花より葉の美しさが由来とされています。そして「椿」という漢字は冬から春に花が咲くことから付けられた日本独自のもので、中国での「椿」は異なる樹木を指します。

      花言葉は「贅沢・おしゃれ・至上の愛らしさ・謙虚な美徳・控えめな美」などがあります。

      花材:ツバキ

令和1年 季節の香り

  • 令和1年12月の香り
    • ニシキギ・キク・ヒペリカム・バーセリア・モミの木

      ニシキギはニシキギ科ニシキギ属の落葉低木です。日本・朝鮮半島・中国東北部を原産国とし、日本では北海道から九州まで広く分布しています。

      ニシキギは古い枝の周囲にコクル質の「翼(よく)」ができることで知られています。この翼は若い緑色枝の表皮を突き破るようにして2~4枚が形成され、年々大きくなりますが、だいたい4年で成長をやめます。剃刀の刃のように見えるので別名「カミソリノキ」とも呼ばれています。

      葉は対生(対に生える)に付き、長楕円形で先は鋭く尖っています。5~6月、枝のわきから淡黄緑色の直径6~8ミリの小さな花を数個付け、10~11月に果実が赤く熟します。熟すと二つに裂けて開き、赤橙色の皮に包まれた種子が2つぶら下がります。長径5~8ミリの楕円形で晩秋に橙赤色の仮種革で覆われた種が垂れ下がる姿も特徴的です。

      ニシキギは紅葉がとても美しく、その美しさを「錦」に例え「錦木」と名付けられました。またニッサボク・スズランノキと共に世界三大紅葉樹に数えられています。
      花言葉は「深い愛情」「あなたの運命」などです。

      花材:ニシキギ・キク・ヒペリカム・バーセリア・モミの木

  • 令和1年11月の香り
    • 紅葵、ハラン、ピンクッション、メラレウカ

      紅アオイはアオイ科フヨウ属の多年草です。原産は西アフリカという説と、インドからマレーシアにかけた地域など諸説あります。17世紀に行われた貿易のなかでオクラと共に西インド諸島や中南米に伝えられ栽培されるようになりました。その後世界各地の熱帯・亜熱帯地域を中心に分布栽培されています。熱帯植物のため耐寒性はありません。日本では越冬が難しく一年草として扱われています。

      草高は2mから3mに育ち、茎は赤紫色の滑らかな表皮を持ちます。花期は9月から11月で、茎上部の葉の付け根に10cm前後で5弁のオクラに似た花を咲かせます。花は半日で枯れてしまう短日植物です。その後果実の成熟と共に苞と萼が肥厚して赤く熟します。この苞と萼はハイビスカスティ―の原料として利用されています。

      紅アオイの正式名称は「ハイビスカス・オブタリファ」といいます。別名である「ローゼル」の呼名が有名で「紅アオイ」は「ロゼリ草」と共に和名になります。

      花言葉は繊細な美・勇敢です。

      花材:紅葵・ハラン・ピンクッション・メラレウカ

  • 令和1年10月の香り
    • ヘルコニア、フォックスフェイス、アスパラ、アオキ

      アオキは日本・東アジアを原産とするミズキ科の常緑低木です。日本全国に生息していますが関東以西の山地や林内に広く分布しています。耐寒性・耐陰性・湿度に強く、「最も日陰に強い庭木」として知られおり、敷地の北側など条件の良くない場所などでも育つことから庭木として重宝されています。

      樹高は1~3mに成長し、枝は太く緑色をしています。葉は枝に対生に生じます。 厚く光沢のあり先が尖った長楕円形で、大きいものでは20cmほどになり縁にギザギザがあります。斑入りのものは特に好まれています。3月から5月にかけ直径1cmほどの花が円錐状に集まって枝先に咲きます。雌雄異株ですが、ともに薄紫色の4枚の花弁を持ちます。雄花には黄色い葯があり雌花は中央部が緑色に見えます。初冬に卵型で2cmほどの赤い実を付けます。鳥に食べられなければ翌年花が咲くまで枝に残ります。

      アオキは江戸時代中期にヨーロッパに伝わりました。先述のように雄雌異株なので すが雌株のみが持ち出されたため結実せず、改めて幕末に雄株の採集が行われた という話が残っています。和名の由来は、常緑で枝も青いことから。別名としてダルマ ノキとも呼ばれています。花言葉は初志貫徹・永遠の愛、若く美しいなどがあります。

      花材:ヘルコニア・フォックスフェイス・アスパラ・アオキ

  • 令和1年8月の香り
    • パンパスグラス、アンスリウム、ホウズキ、ヤツデ

      ヤツデ(八つ手)は日本を原産とする固有種で、ウコギ科ヤツデ属の常緑低木です。福島県以南の沿岸地に自生し、樹高は1.5から3mほどになり、特徴的な葉は直径20~40cmほどの大きさで厚みと光沢があります。葉先は7から11の奇数に深く裂け込み、11~12月の寒い時期に散形花序が集まった白い花を咲かせます。

      学名は「 Fatsia・japonica (ファテシア・ジャポニカ)」といい。「はっしゅ(八手)」や「はち(八)」のが訛ったものと言われています。

      ヤツデの名前は、葉を手に見立てたことに由来しますが、ヤツデの葉が8つに裂け込むことはめったにありません。8は古代より「末広がり・無限」といった縁起の良い聖数とされる一方、漠然と「数が大きい」ことを表す(八雲・八重桜・八百万など)のにも使われていました。「葉先が手のように『たくさんに』分かれている」ことから「八つ手」と名付けられています。また、天狗が持つ羽団扇に形状が似ていることから「天狗の羽団扇」という別名があります。

      ヤツデは冬も落葉せず大きな葉を茂らせ、丈夫で手間がかからないだけでなく、葉が風に揺れる様は手招きをしているように見えることから「千客万来」と縁起担ぎ、また魔を払う厄除けの植物として、そして殺虫効果があることから虫の侵入を防ぐためにと玄関先や門のわきに公園にと植えられてきた日本人にとって身近で馴染み深い植物です。花言葉は、健康・親しみ・分別です。

      花材:パンパスグラス、アンスリウム、ホウズキ、ヤツデ

  • 令和1年7月の香り
    • フトイ、グラジオラス、アンスリウム、アスパラガス・マコワリー

      アスパラガス・マコワニー(ミリオクラダス)は南アフリカ原産のキジカクシ科アスパラ属の多年草です。キジカクシ科の植物の多くは、細い線状の葉がたくさん着いているように見えますが、これは茎が細かく枝分かれしたもので葉状枝・仮葉と呼ばれ、光合成もしています。本当の葉は鱗片状あるいは棘状に退化して茎から出ています。初夏に淡緑白色の1cmほどの可愛らしい6弁の花を咲かせ、秋に赤い実をつけます。

      アスパラガス・マコワニーは野菜として知られているアスパラガスとは同属の別品種になります。観葉植物として栽培され茎が木化し、直立性の高さ1~2m程度の低木状になるという特徴があります。

      アスパラガスという名は葉が細い線状に分かれることから「甚だしく裂ける」という意味の古いギリシャ語に由来していると言われています。また、姿形から和名を「タチボウキ」、葉状枝が密集し塊状になることから「ボンボンアスカラガス」という英名もあります。花言葉は「普遍」「勝利」などあります。

      花材:フトイ、グラジオラス、アンスリウム、アスパラガス・マコワリー

  • 令和1年6月の香り
    • 黄金ヒバ・ベロニア

      ベロニカはオオバコ科クワガタソウ属(ベロニカ属)の多年草です。ヨーロッパからアジアにかけての北半球の温帯地域を原産とし広く分布しています。ベロニカの種類はとても多く、世界に200~300種あり日本には約20種が自生しています。その中でも美しい花を咲かせる数種がベロニカとして流通しています。姿形は種類によって異なりますが、大きくは穂状の花を咲かせる直立性のものと、小型で横に伸びるほふく性のものに分けられます。花期は6~8月で青・紫・ピンク・白色などの花を咲かせます。

      属名「ベロニカ」は、キリスト教の聖女「セイント・ヴェロニカ」に捧げられた花ということに因んでいます。また、長く青い花穂をトラの尾に見立て「ルリトラノオ」、「セイヨウトラノオ」という別名でも知られています。

      花言葉は「忠実」「名誉」「忠誠心」などがあります。

      花材:黄金ヒバ・ベロニア

  • 平成31年5月の香り
    • レッドジンジャー

      レッドジンジャーはニューカレドニアやソロモン諸島など太平洋諸島が原産のショウガ科ハナミョウガ属の常緑多年草です。現在では熱帯地方の諸地域で分布・栽培され、日本では沖縄本島以南で栽培されています。

      原生地での草丈は2~4メートル程まで育ちます。葉の長さは60センチくらいの長楕円形で互い違いに生え、折り重なった葉柄が茎のように直立します。6月~10月頃その頂に穂状花序を作り鮮やかな赤い苞(こも)を連ね苞の間から白や黄色の小さな花を咲かせます。

      花の後にできる実は熟すると下部が裂け種子が散布されます。

      レッドジンジャーはショウガ科で特徴的な赤い苞を持つ姿にちなみます。和名は赤穂月等桃(あかぼげっとう)、沖縄ではサンニンと呼ばれています。

      花言葉は「一日だけの恋」・「豊かな心」・「慕われる愛」などがあります。

      花材:レッドジンジャー

  • 平成31年4月の香り
    • コデマリ・ウンリュウヤナギ・ワットソニア・カラー

      ワットソニア(ワトソニア)は、南アフリカを原産とするアヤメ科ワトソニア属の多年草です。球根草で、草丈は30~150センチほどになります。葉は細長い剣状で、直立した花茎の上にグラジオラスによく似たピンク・赤・白などの花を春から初夏に咲かせます。 日本には明治時代末期に伝来し、観賞用に栽培されていています。

      「ワットソニア」の名はイギリスの植物学者 William Watson にちなみ付けられました。和名は「ヒオウギスイセン」といい、葉の付き方がヒオウギに、花がスイセンに似ていることから。英名「bugle lily」は、花の根元が細く花筒が少し曲がった花形が軍隊ラッパ(bugle)に似ていることから名づけられています。

      花言葉は「豊かな心」・「知性」です。

      花材:コデマリ・ウンリュウヤナギ・ワットソニア・カラー

  • 平成31年3月の香り
    • ハラン・ホワイトレースフラワー・スイートピー

      ホワイトレースフラワーは地中海沿岸地方から西アジアを原産とするセリ科ドクゼリモドキ属の一年草です。

      草丈は100~150cmほどになります。花期になると花茎を100cm前後まで伸ばし頂部に花を咲かせます。花は小さな五弁の花が集まり直径2cmほどの花序を作り、さらに15~60個の傘状に集まって直径15cmくらいのレース状の花になります。

      開花期は5~6月ですが、春まきも秋まきもできるので周年を通し市場に出回りす。

      繊細なレースのような花姿からレースフラワーと呼ばれていますが、猛毒を含むドクゼリと外見が似ているため和名は「ドクゼリモドキ」と名付けられています。観賞用に栽培されているホワイトレースフラワーは和名「ドクゼリモドキ」のアミ・マイユ種と和名「イトバドクゼリモドキ」のアミ・ビスナガ種があり、共にホワイトレースフラワーの名前で流通しています。

      花言葉には「可憐な心」「細やかな感情」「感謝」などがあります。

      花材:ハラン・ホワイトレースフラワー・スイートピー

  • 平成31年2月の香り
    • 万年青

      赤芽柳はヤナギ科ヤナギ属の落葉高木です。原産国は日本・韓国・中国で、本州の山形・宮城以南から四国・九州、朝鮮半島、中国南部に分布し、湿地に自生しています。

      雌雄異株でタマネコヤンギとネコヤナギ、バッコヤナギの雑種と推定され、自生しているものは10~20メートルまで成長しますが、切り花用として栽培されているものは園芸落葉低木で2~3メートルの樹高になります。

      枝は赤みがかり、葉は楕円型で、花芽は赤い皮(芽鱗がりん)に包まれており、早春に白い毛に覆われた雄花の穂をつけ4月から5月ころ花序を出して黄緑色の花を咲かせます。

      学名は「Salix x. leucopithecia 」といい『水辺に近い・白猿のような』を意味します。 赤芽柳の名前は若葉や新芽、枝が赤みを帯びていることに由来し、別名は柳の葉がたくさん垂れた姿を振袖姿に例え「振袖柳」、葉が丸いことから「丸葉柳」などがあります。

      花言葉は「強い忍耐」です。

      花材:赤芽柳・スプレーカーネーション

  • 平成31年1月の香り
    • 万年青

      万年青は関東から九州の暖地に分布するゆり科の常緑多年草で、初めに二枚の葉が向き合うように生え、その中にまた新葉が向き合い伸びてきます。内側の新葉が成長するにつれ、外側の古葉が枯れ落ちる特徴があります。この新旧の交代、絶えることなく増え様続ける様が永遠につながるめでたいものとして、古くから正月や婚礼の祝い花に用いられてきました。

      万年青は「七枚目の葉が生じて、ようやく花が開く」とされています。初夏に花を咲かせ結んだ実は冬に赤く熟し、春まで美しく色づき続けます。葉がそれぞれの役割を持ち、砂、泥、霜や風から実を守っています。

      本年は正月の迎え花として「万年青の株分け」を飾らせて頂きました。
      中央の立姿は盛んな子株、向かって右手前の横姿は隠居した親株、子株の左脇の小さな株は孫株を表しています。名前が示すように常に青々と色褪せず、張りのある凛とした葉姿と出生に皆様の健康・長寿・繁栄の願いを込めさせて頂きました。

平成30年 季節の香り

  • 平成30年クリスマスの香り
    • Xmas1 Xmas2 Xmas3 Xmas4 Xmas5
  • 平成30年12月の香り
    • ブルーアイス・白木・スターリンジャー・ダリア・グロリオサ・トルコキキョウ・リュウカデンドロン

      ブルーアイスは、ヒノキ科ホソイトスギ属の常緑針葉高木の園芸品種です。原種は北米アリゾナ州からカリフォルニア半島、メキシコ北部に生育しています。

      「ブルーアイスコニファー」と表記されることが多いのですが、コニファーとは針葉樹の総称で、裸子植物が丸みを帯びた実をつけることからコニファーと呼ばれています。日本では球果食物門のうち園芸用品種をさし、マツ・ヒノキ・モミ・スギなどが含まれます。

      ブルーアイスは、ホワイトブルー(白銀色)の葉が特徴的色です。コニファーの中では最も香りが強く、森林を想像させるその香りは抗菌・防虫・消臭作用の他、空気洗浄作用やリフレッシュ作用も注目されています。またクリスマス前の今の時期、リースやスワッグの材料としても多用されています。常緑(エバーグリーン)の意味から「永遠の生命」や「永遠の幸福」を、針葉樹の殺菌作用から魔除けの願いを込めて飾られます。

      花材:ブルーアイス・白木・スターリンジャー・ダリア・グロリオサ・トルコキキョウ・リュウカデンドロン

  • 平成30年11月の香り
    • ニューサイラン・ガーベラ・雪冠杉・オンシジウム

      ガーベラは南アフリカ原産のキク科ガーベラ属の多年草です。主に温帯・熱帯アジア・アフリカなど温暖な地域に分布しており、南アフリカには野生で約40種が存在しています。

      原種のジャメソニーは赤色で花弁が細く枚数の少ない花でしたが、他の原種との交配を重ね多数の園芸品種が育成され毎年新しい品種が生まれています。

      ガーベラは葉が地際に集まって茂り、茎だけが長く伸びる草姿が特徴で、春と秋に咲く花は大輪なものから3㎝ほどの小輪のものがあり、色も赤・オレンジ・黄色・白・ピンクなど多彩で、一重・八重・スパイダー咲きやセミダブルなど花形のバリエーションも多く、草丈も10~80cmと様々です。現在切り花用として流通している品種は2000種以上ありますが、そのうち90%以上がオランダや国外から輸入されたものです。

      日本には明治時代末に渡来しました。ガーベラの名前は発見者であるドイツの自然科学者「ゲルバー」の名前から付けられ、和名はオオセンボンヤリ・ハナグルマと言います。

      花言葉は、「崇高美」「神秘」「希望」「成功」などがあります。

      花材:ニューサイラン・ガーベラ・雪冠杉・オンシジウム

  • 平成30年10月の香り
    • サンゴミズキ・アマランサス・ドラセナコンシンネレインボー

      アマランサスは南米ペルー原産のヒユ科植物の総称です。

      草丈は大きなもので2メートルほどまで育ち、葉は扇型で葉脈がくっきり表面に浮き出ています。晩夏から秋にかけて鶏頭に似た小さな花が穂のように咲き、穂先は垂れ下がり、花色には赤・赤紫・緑・黄色などがあります。花からはアマランサス色と呼ばれている赤系の染料が取れ、花の中の穀粒が種子になります。

      アマランサスは紀元前6世紀から栽培されており、古くはアステカ人が主食にしたり儀式に使用していました。古代インカ帝国でも種子を穀物として食用にしていました。19世紀に入るとインドで大規模に栽培されるようになり日本には江戸時代に観賞用として伝来しました。現在、栄養価の高い雑穀・スーパーフードとして注目されていますが、江戸時代末期に岩手県で「仙人穀」という呼び名で栽培された記録があり、日本においても当時からその栄養価は評されていたようです。

      アマランサスは、ギリシャ語のアマラントス「しおれることがない」という意味の語が語源となっており、花言葉は「粘り強い精神」・「不老不死」・「不滅」などがあります。

      花材:サンゴミズキ・アマランサス・ドラセナコンシンネレインボー

  • 平成30年9月の香り
    • 野ばらの実・パンパスグラス・ワレモコウ・リンドウ・ケイトウ・ハラン

      秋を代表する草木として広く知られているワレモコウは、バラ科ワレモコウ属の多年草です。東アジアからヨーロッパに広く分布し、日当たりの良い草地に生えます。

      夏から秋に1mほどの茎を伸ばし、その先に1~2cmの穂状の可憐な花をつけます。花は穂の先端から咲いていき、1つ1つの花は2mmほどで花弁はありません。赤みを帯びた茶色の部分の萼(がく)が四裂し花弁状になり長く色が残るので秋遅くまで楽しむことができます。根茎は黒褐色で太く、生薬の地楡(ちゆ)として治療薬や漢方に配合されています。

      ワレモコウは「吾亦紅」・「吾木香」・「割木瓜」などの字が当てられています。その由来としては、「他の花のように美しくなりたい=われもこうありたい」とういワレモコウの儚い願い、「われも亦た紅い」という主張から「吾亦紅」、根や茎に香りがあるため「吾木香」、木瓜紋(きっこうもん)とワレモコウの花が似ていて割れ目があることから「割木瓜」、など様々な説があります。

      花言葉は、「変化」・「移り行く日々」・「明日への期待」・「あこがれ」などがあります。

      花材:野ばらの実・パンパスグラス・ワレモコウ・リンドウ・ケイトウ・ハラン

  • 平成30年8月の香り
    • コウヤマキ・ユリ・ピンクッション・レナンセラ

      高野槙(コウヤマキ)はマツ目コウヤマキ科の高木常緑針葉樹です。かつては北半球全体に広く分布していましたが、現在では日本の東北南部から九州と、韓国の済州島だけに分布している固有種です。

      コウヤマキ科は分類上コウヤマキだけを含む「一科、一属、一種」で、分類上とても珍しい植物ですが、特別な手入れをしなくても狭円錐形の整った樹冠を形成するので公園や庭木としてよく見かけます。樹形の美しさからナンヨウスギ・ヒマラヤスギとともに「世界三大公園木」のひとつとされ、樹姿が東京スカイツリーのデザインの原点にもなりました。

      また優良な材を称する「木曽五木」にも数えられています。水の強く朽ちにくいことから水桶や浴槽、杭の材料として使われています。また古くには橋桁や船材としても利用されていました。

      和名は、高野山真言宗の総本山である高野山に多く生えていることに由来し、高野山では霊木とされています。花言葉は「奥ゆかしさ」です。

      花材:コウヤマキ・ユリ・ピンクッション・レナンセラ

  • 平成30年7月の香り
    • ワイルドオーツ・プロテア・アジサイ・晒しシダ

      ワイルドオーツは、イネ科のチャスマンティウム属の多年草です。北アメリカが原産で肥沃な林内や川沿い氾濫原などに群生します。背丈は40~100cmになり、夏に緑色の小判のような小穂をたくさんつけます。7~8月小穂の中に花を咲かせ、9~12月頃に実をつけます。花穂は茶色へ変わりますが落ちることなく残るので、ドライフラワーとしてもよく使われています。

      穂がコバンソウに似ていることや、コバンソウが一年草に対してワイルドオーツは宿根草なので多年草になることから「ニセコバンソウ」「宿根コバンソウ」という別名がついています。

      花言葉は、「素朴な心」「興奮」です。

      花材:ワイルドオーツ・プロテア・アジサイ・晒しシダ

  • 平成30年6月の香り
    • エルムレス・ヒマワリ・オクラレルカ・イチハツの葉

      エルムレスは中央アジア西部原産のユリ科エルムレス属の多年草です。
      茎は細長く長さは50センチから1メートルにもなります。花穂の長さは40~80センチで小さな花を密集させ花は下から上に向かい順に咲いていき、花色は白、黄色、橙、桃色、クリーム色などがあります。

      エルムレスという名前はラテン語の砂漠「eremo」と尾「uro」が語源となっています。中央アジアの砂漠に自生し、尾ような形をした花穂風になびかせる姿にちなみつけられました。別名に「英名デザートキャンドル(砂漠のキャンドル)」「フォックステールリリー」などがあります。

      花言葉は「大きな希望」・「高き理想」・「逆境」・「信頼」です。

      花材:エルムレス・ヒマワリ・オクラレルカ・イチハツの葉

  • 平成30年5月の香り
    • スモークツリー・ギガンジウム・ヒマワリ・ギガンジウム

      ギボウシはユリ科リュウゼツラン亜科の多年草です。東アジアが原産で日本を中心に20~40種が分布しています。主に山林や草原、湿原などに自生し、日本では古くから庭に植えられてきましたが、園芸品種ができたのは江戸時代後期になってからです。
      その頃シーボルトによってヨーロッパに紹介され、その後アメリカに導入され多くの園芸品種が作られました。

      葉は根元に放射状にまとまってつき、初夏から秋口に茎を伸ばし先端近くに濃い紫から淡紫や白、ピンクなど小型のラッパ型の一日花を咲かせます。その蕾の姿が橋などの柱の先端についている擬宝珠に似ていることが名前の由来になっています。
      またギボウシの若芽は「うるい」・「たきな」と呼ばれ山菜として楽しまれています。

      花言葉は「落ち着き」・「沈静」・「静かな人」などあります。

      花材:スモークツリー・ギガンジウム・ヒマワリ・ギガンジウム

  • 平成30年4月の香り
    • 泰山木・丹頂アリアム・アルストロメリア・レースフラワー

      泰山木(タイサンボク)はモクレン科モクレン属の常用高木です。原産は北米中南部でアメリア合衆国南部を象徴する花木で、ミシシッピ州やルイジアナ州の州花に指定されています。

      樹高が10~20mにもなる成木は、直立しゆったりと枝を広げ、密に葉を茂らせます。葉は長さ15~20センチほどの楕円形で、表面は光沢がある深緑色で裏面は毛が密集しており錆色に見えます。6~7月ころ、純白で香りの良い大輪の花を上向きに咲かせます。花径は20~50cmほどもあり、日本の樹木の花としては最大です。日本に渡来した明治時代以降、庭木や公園樹としてよく植栽されています。

      泰山木の名前の由来は、花・葉・樹形など全てが大きく立派なことに賞賛し、中国の名山「泰山」に例えたとされます。また大きな花姿から「大盃木」と呼ばれ、それが転訛したという説もあります。

      花言葉には「前途洋々」・「壮麗」があります。

      花材:泰山木・丹頂アリアム・アルストロメリア・レースフラワー

  • 平成30年3月の香り
    • 桜・レンギョウアカシア・カラー

      レンギョウアカシア(ミモザアカシア)はマメ科アカシア属の常緑高木です。原産はオーストラリア南東部で、熱帯から亜熱帯にかけ約1200種が分布しています。2月から3月ころ樹木全体が黄色く染まるほど小さな房状の花をたくさん咲かせます。葉は羽状の銀白色を帯びた緑で一年中楽しむことができます。成長がとても早く樹高が10メートル以上になるものもあり公園や庭の木としても利用されています。

      19世紀にオーストラリアよりヨーロッパに伝わり、日本には明治時代の初め渡来しました。本来ミモザはマメ科オジギソウ属の総称ですが、葉の形が似ていたことからイギリスで誤用され、現在ではアカシア属の特に黄色い房状の花をつける種類がミモザの通称で定着しています。

      ミモザは春を告げる花としてヨーロッパでとても人気があり、フランスで南部では毎年2月にミモザ祭りが催されます。また3月8日は「国際女性デー」とされ、イタリアでは女性の日・ミモザの日とも呼ばれ男性が女性に日頃の感謝を込めてミモザの花を贈る風習があります。花言葉には秘密の恋・友情などがあります。

      花材:桜・レンギョウアカシア・カラー

  • 平成30年2月の香り
    • ストレチア

      ストレチアは南アフリカ原産のバショウ科ゴクラクチョウカ属、またはストレリチア属の常温多年草です。今回生けているものは数種類あるストレチアの中で最も栽培されているストレチア・レギネで、一般に「極楽鳥花」と呼ばれている種類です。草丈は1~2メートルほどに成長し、茎の先に鮮やかなオレンジ色の咢とオレンジの花弁の鳥の口ばしのような花を咲かせます。基本的には春と秋が旬ですが温度を保てば周年開花し、花もちは二週間と長く、1つの蕾が5~6回花を咲かせるという特徴があります。

      学名の「ストレリチア」は、植物愛好家であったジョージ3世の王妃シャーロットの旧姓に由来しています。英名は「Bird of Paradise(天国の鳥)」と言い、和名は前述の通り「極楽鳥花」。主にニューギニア島に生息する風鳥(フウチョウ)の別名「極楽鳥」に姿が似ていることから名付けられました。

      花言葉は「寛容」、「輝かしい未来」などがあります。

      花材:ストレチア

  • 平成30年1月の香り
    • 梅・ずわい・百合・菊・千両・葉牡丹・麦

      葉牡丹はアブラナ科アブラナ属の多年草です。鮮やかな葉を鑑賞する観葉植物ですが一年草の草花として扱われることが多いです。
      耐寒性に優れており冬に見ごろを迎えるので、花の少ない季節の花壇に彩りを添えています。また縁起の良い植物とされ、お正月の門松の添えや生け花にもよく使われています。葉牡丹の花名は葉を牡丹の花に見立てたことに由来しています。古くに新年を祝う花とされた牡丹より丈夫で安価のため人気が高まりお正月の花として普及していきました。

      葉牡丹を大別すると葉に葉緑体以外の色素を持たない品種と、赤キャベツにも含まれるアントシアニンという色素を持つものに分けられます。一定以下の低温に晒されてから出葉すると葉緑素が抜け、白やクリーム色、紫、赤、桃色等に色付きます。それまでに分化した葉が周縁部を緑色に縁取り着色した中心部の葉とのコントラストが映えるようになります。
      主に冬場に野外栽培されますが、暖地では色付かず、寒地では野外での越冬はできません。多年草として育てると樹木のような枝を出し、それぞれの枝先に葉牡丹がついた姿(踊り葉牡丹)となります。

      原種である西ヨーロッパの地中海沿岸に野生する「ブラッシカ・オケラケア」という野菜として扱われていた植物の変種になり同変種にはキャベツやブロッコリー、ケールなどがあります。江戸時代前期に「オランダナ」の名前で食用として伝わりましたが、江戸時代中期以降観賞用への品種改良が進んでいきます。最も古い系統の葉が平滑な「江戸丸葉」、刃先細かく縮れる「名古屋縮緬」、葉が波打つ「大阪丸葉」の3種が代表的でそれぞれに白・紅(赤紫)・薄紅の3色がありました。その後も改良が進み、葉が縮れて切り込みのあるもの、中央部だけが紅になるもの、葉の部分が小さいもの茎が長くなるものなど様々な品種が生まれています。

      花言葉は「祝福」「利益」「物事に動じない」などがあります。

      花材:梅・ずわい・百合・菊・千両・葉牡丹・麦

平成29年 季節の香り

  • 平成29年12月の香り
    • ミツマタ・レースフラワー・ヒペリカム・ベニノキ・ヤツデ

      ベニノキ(紅の木)はベニノキ科に属する熱帯アメリカ・西インド諸島が原産の常緑低木です。

      樹高は3メートル程に育ち、葉は先のとがった約10センチのハート形をしています。白・淡紅色の5㎝ほどの五弁の花は梅の花に似ており、果実は2から4㎝の卵型で赤褐色の柔らかな毛に覆われています。果実は熟すと二つに割れ、その中に紅色の柔らかい仮種皮に包まれた20個ほどの種子が詰まっていて、この種皮から紅色色素のアナトー色素が抽出されます。

      コロンブスの「新大陸発見」以降、染料植物として熱帯地方に広がりました。 原産地では古くから着色料・香辛料・民間薬として利用されてきました。中南米の原住民は化粧やボディペインティングに使用し、ラテンアメリカ、フィリピンでは高価なサフランの代用品として、メキシコではチョコレートの着色に用いてきました。布・羊毛の染色への利用は化学染料の発明により需要は減りましたが、害が無いため現在も食用色素や口紅に利用するため、また観賞用としても熱帯各地で栽培されています。

      花材:ミツマタ・レースフラワー・ヒペリカム・ベニノキ・ヤツデ

  • 平成29年11月の香り
    • サンゴミズキ・カナメモチ・菊・カーネーション・ドラセナ

      「カナメモチ」はバラ科カナメモチ属の常緑小高木で暖地に自生しています。日本や中国が原産で、東南アジア温帯や亜熱帯を中心に約60種分布し、日本では伊豆半島より西の比較的暖かい地域に生育しています。

      庭木や生垣としてよく用いられ、幹がとても堅いので器具の柄としても利用されています。 葉は光沢のある厚い長楕円形で、新葉が鮮やかな紅赤色をしていることから「アカメモチ」とも呼ばれています。葉は開き固くなるにつれ緑色に変わります。この新葉の紅色はアントシアニン色素によるもので、柔らかく弱い新葉の組織を強い日差しから守るためと言われています。

      5月から6月頃白い小花をまとまってたくさん咲かせ、「蕎麦の花」に似ていることから古くは「蕎麦の木」と呼ばれ、古事記や枕草子にも「たちそばの木」として登場しています。
      「カナメモチ」という名は扇の要(かなめ)を作るのに使われ、モチノキに似ていることに由来しています。花言葉は、「にぎやか」です。

      花材:サンゴミズキ・カナメモチ・菊・カーネーション・ドラセナ

  • 平成29年10月の香り
    • 紅葵・マリーゴールド・アナナス・ヤツデ

      フランス語でパイナップルを意味する「アナナス」は本来パイナップル属の属名ですが、園芸上ではパイナップル科の植物のうち観葉植物として栽培されるものを指します。
      今回生けているアナナスは「インコアナナス」といい、ブラジルを原産とするパイナップル科フリーセア属の常緑多年草で樹木や岩の上に着生しています。

      日本には明治松から大正時代に渡来しました。「インコアナナス」は広く出回っている「大インコアナナス」が改良された小型種で、赤と黄色の扁平な花苞がインコを連想させることから名付けられています。
      花苞とは葉が変化し花のように見える部分のことで、苞の間から咲く小さな黄色い花はとても寿命が短いのですが、花苞は2か月以上色付き長く楽しむことができます。
      インコアナナスの花言葉は「女性の力強さ」でアナナス科の共通の花言葉は「たくわえる」です。茎や葉筒に水分や養分を貯め補給する性質から付けられています。

      花材:紅葵・マリーゴールド・アナナス・ヤツデ

  • 平成29年9月の香り
    • パンパスグラス・唐胡麻・唐辛子

      唐胡麻(とうごま)は東アフリカを原産とするトウダイグサ科唐胡麻属の園芸・薬用植物です。耐寒性がないため、熱帯では多年草ですが温帯では一年草です。草丈3メートル程まで大きくなり、葉はヤツデに似た大型で、秋に円錐花序の上部に赤い雌花、下部に黄色い雄花を付ける雌雄同株です。開花時期から柔らかい棘のある赤い実をたくさん付けます。種子は楕円形で暗褐色の斑点があり種子から油が得られ、「ひまし油」として広く使われています。

      唐胡麻は、紀元前4000年頃つくられたエジプトの墓から種が発見されており、すでにひまし油が塗料や燃料、香料に利用されていていました。紀元前2000年頃にはインドで薬として使用していた記録が残っています。日本には平安時代の初期に中国から渡来しています。種子から胡麻のように油がとれることから名付けられました。 別名を「ヒマ」と言い、花言葉は「いつもそばに」「魔除け」です。

      花材:パンパスグラス・唐胡麻・唐辛子

  • 平成29年8月の香り
    • 黄ソケイ・パンパスグラス・百合(カサブランカ)

      黄ソケイはヒマラヤ地方が原産のモクセイ科ソケイ属の常緑低木です。日本には明治時代に中国を経由して伝えられました。ソケイ属の植物の総称を「ジャスミン」といい、その中国名が素馨(ソケイ)となり、世界で約300種が知られています。

      黄ソケイは1~1.5m程の高さに育ち枝は広がります。初夏から夏にかけ五弁の小さな黄花をたくさん咲かせ、香りはそれほど強くありません。

      別名には「ヒマラヤジャスミン」「イエロージャスミン」などがあります。最近ではヒマラヤジャスミンの名前で流通することが多く、馴染み深くなっているようです。

      花言葉は「恩恵」「優美」があります。

      花材:黄ソケイ・パンパスグラス・百合(カサブランカ)

  • 平成29年7月の香り
    • 晒しほうき草、ほおずき、ハラン

      ハランはスズラン亜科ハラン属の常緑多年草で日本、中国が原産です。
      葉は艶のある楕円形で、長いものは50センチを超えます。茎は地下を横に這う地下茎で、5月頃に地面すれすれに4センチ程の壺型の紫色の花を咲かせます。
      密群落を作り地面からスッと伸びた大きな葉が立ち並ぶような風景となり、日陰でよく育つので庭草の下草としても人気があります。

      古くは葉が蘭に似ていて大きいことから「馬蘭(バラン)」と呼ばれていました。江戸時代になると改良が進み縞斑・中斑・曙斑・星斑など多くの品種が作り出され、その頃より「ハラン」と呼ばれるようになり「葉蘭」の当て字が付けられました。

      葉に殺菌作用があり、和食の盛り付けでも使われてきました。飾りとして包丁で細工したものが現在でも高級料亭や寿司屋で使われています。お弁当用などで仕切りに使われる緑のビニールシート「バラン」はこのハランの葉の飾りを模したものです。

      花言葉は「強い心」「強い意志」です。

      花材:晒しほうき草、ほおずき、ハラン

  • 平成29年6月の香り
    • オクラレルカ(葉)・ミニバラ・アジサイ

      オクラレルカはアヤメ科のアヤメ(アイリス)属の多年草です。原産国はトルコで、日本の主な産地は沖縄県です。

      葉は同属の菖蒲や杜若によく似て細長く先がとがっており、草丈は1~2m程に成長し、花弁には薄紫に黄色い筋が入っていることから和名は長大アイリスといいます。

      オクラレルカは、生け花用として葉を出荷する目的で生産されることが多いので花は咲かせませんが、沖縄県大宜味村では、井草を栽培していた水田でオクラレルカを栽培し、4月上旬には一面が紫色の花に彩られた風景を楽しみに沢山の人が訪れるそうです。

      花言葉は「よい知らせ」「あなたを大切にします」です。

      花材:オクラレルカ(葉)・ミニバラ・アジサイ

  • 平成29年5月の香り
    • どうだんつつじ・ギガンジウム・ホワイトスター

      ブルースターはブラジル南部ウルグアイを原産とするキョウチクトウ科の多年草です。
      正式な和名は瑠璃唐綿(ルリトウワタ)ですが、青い5枚の花弁を星型につけることからブルースターの呼名で広く知られ流通しています。

      花茎は3cmほどで、花色は咲き始めが水色で次第に青みが強くなり、咲き終える頃はピンク色を帯びてきます。夏から秋にかけ長い期間花を咲かせ、花後は7~8cmの大きな紡錘形の果実を付け、熟すと綿毛の付いた種を飛ばします。

      近年ではホワイトスター・ピンクスターと呼ばれる白やピンクの花弁や八重咲などの栽培品種が増えています。

      花言葉には「幸福な愛」「信じあう心」などがあり、欧米では男の子の誕生を祝うときに贈ったり、結婚式でサムシングブルーとしてブーケに使う習慣があります。

      花材:どうだんつつじ・ギガンジウム・ホワイトスター

  • 平成29年4月の香り
    • ヒュウガミズキ・銀葉・アジサイ・レンギョウ・カーネーション

      ヒュウガミズキ(日向水木)は、マンサク科トサミズキ属の落葉低木です。
      原産地は日本・東アジアで、本州中部から近畿地方の日本海側のやせた岩地に自生し、育てやすさや手入れのしやすさから庭木として好まれ用いられています。
      高さ約2メートル程まで育ち、枝は細くたくさん分岐します。3月~4月ころ、葉に先立ち淡黄色の花を下向きに咲かせます。

      同属のトサミズキとよく似ていますが、ヒュウガミズキの方が葉や花が小ぶりでオシベの葯が黄色いのが特徴でトサミズキと対比し「ヒメミズキ」という別名でも呼ばれています。
      ヒュウガミズキの名前の由来は、ヒメミズキが訛った、日向(宮崎県)に多く植栽された、明智日向光秀の所領だった丹波地方(京都北部)に多く植栽されたなど様々な説があります。

      別名の花言葉は「思いやり」「信頼」「神秘」です。

      花材:ヒュウガミズキ・銀葉・アジサイ・レンギョウ・カーネーション

  • 平成29年3月の香り
    • レンギョウ・木瓜・アイリス

      木瓜(ボケ)はバラ科の落葉低木で棘状の小枝があります。
      開花時期は11月終わりから4月中頃までで紅・淡紅、白などのふっくらとした美しい花を付けます。

      中国原産で古い時代に日本に伝えられ平安時代には既にあったと言われています。
      名前の由来はボケを漢字で書くと『木瓜』。瓜に似た果実を木につけることから「木瓜(もけ)」と呼ばれたものが「ぼけ」に転訛したとも、中国語の「木瓜(モッカ)」が訛り「もっけ」→「もけ」→「ぼけ」と転訛したとも言われています。

      木瓜は別名を「放春花」春を呼ぶ花と呼ばれ、日本に自生する草木瓜と中国原産の木瓜を交配し様々な品種が生み出され現在では園芸品種は200種を超えるそうです。

      花言葉は「早熟」「平凡」「先駆者」「妖精の輝き」などあります。

      花材:レンギョウ・木瓜・アイリス

  • 平成29年2月の香り
    • 小豆柳・黒文字・ラナンキュラス・ガーベラ・オンシジウム・ドラセナ

      黒文字(くろもじ)は日本原産のクスノキ科落葉低木で、本州・四国・九州などの低山や疎林の斜面に分布しています。直径5~10cmの細い幹が2~5m程度の高さに成長します。樹皮は緑色で次第に黒い斑点が出て春先に淡い黄緑色の花を咲かせます。

      枝は高級楊枝の材料に使われ、枝と葉から香料の黒文字油がとれます。古い時代には薬用にも使われていました。

      「黒文字」の名の由来は若枝の表面に出る黒い斑点を文字に見立てたものといわれています。

      楊枝は現在一般的に白樺やプラスチックなどで作られたものが多いのですが、かつては黒文字の枝を削り作られていました。根元に皮を残すのが上品とされ現在は高級楊枝として和菓子用などに使われています。

      花言葉は「誠実で控えめ」です。

      花材:小豆柳・黒文字・ラナンキュラス・ガーベラ・オンシジウム・ドラセナ

  • 平成29年1月の香り
    • 白木蓮・オーロラ菊・椿

      白木蓮(はくもくれん)は中国が原産国のモクレン科モクレン属の落葉高木で樹高は10~15mほどまで成長します。
      通常「木蓮(もくれん)」は、紫色の花を咲かせる紫木蓮(シモクレン)を指し白木蓮とはモクレン属の別品種になります。
      3月ころ木蓮よりやや早い時期に上向きに白い花を咲かせます。花は閉じたように開ききることなく咲き、満開になると上品な香りを放ちます。
      花びらは太陽の光を受け南側が膨らむため、必然的に花先は北を向くので「コンパス・フラワー」という別名もあります。

      モクレン属の歴史は古く約1億年前の白亜紀の化石から発見されています。昆虫がまだ存在せず甲虫が花粉を運んでいたため雌しべが強くできていると言われています。

      名前の由来は、花がランに似ていることから「木蘭(もくらん)」と呼ばれていたこともありますがが、ハスの花に似ているとして「木蓮」と呼ばれるようになりました。
      春の訪れを待ち望むように咲く姿から中国では「望春花」という別名もあります。

      白木蓮の花言葉は「気高さ」「慈悲」です。

      花材:白木蓮・オーロラ菊・椿

平成28年 季節の香り

  • 平成28年12月の香り
    • 雪冠杉、小菊

      杉はヒノキ科スギ属の常緑針葉樹です。起源は古く中生代に登場したとされる日本固有種の植物群です。本州から屋久島まで自生しており、多くの地域品種があり天竜杉・屋久杉・立山杉・吉野杉・秋田杉などが有名です。
      スギの名の由来は、真っ直ぐの木「直木」からという説が有名ですが、古事記伝で本居宣長は「杉は傍らにはびこらず上に進み上る木『進木(ススギ)』が語源」と記しています。

      今回生けている杉は雪冠杉(せっかんすぎ)と言います。原産国は日本でヒノキ科スギ属の園芸品種になります。常緑高木で新葉が白っぽくなり、枝先が白く雪を被ったように見えるところからこの名前が付きました。別名「黄金杉」でも知られています。

      花言葉には「無言の愛」「秘めたる愛」などがあります。

      花材:雪冠杉、小菊

  • 平成28年11月の香り
    • 菊7種

      日本の秋を象徴する花とも言える菊は、中国より奈良時代末から平安時代初めに薬用・観賞用として伝わり宮中で好まれました。後鳥羽上皇が菊紋を皇室の家紋としたことから広く知られるようになり、江戸時代になると庶民の間にも普及しました。大正時代にかけて各地で改良され多くの品種が作られるようになり、新花の品評会や三段・菊花壇・菊人形などに仕立てた観賞が楽しまれました。これらは日本で独自に発展した古典園芸植物の1つとして「古典菊」と呼ばれています。

      日本の菊は幕末の頃になると中国や欧米へ輸出されるようになり欧米でも改良が進められました。現在、世界的に菊の品種は2万種を超えるといわれ、毎年新しい品種が生み出され楽しまれています。

      花材:菊7種

  • 平成28年10月の香り
    • ダンチクの穂、ヘルコニア、りんどう、ドラセナ

      ダンチクは暖地の海岸近くに生育するイネ科の多年草で、亜熱帯を中心に、日本の関東南部以西、中国南部、東南アジア、インド、地中海沿岸に自生しています。
      高さは2~4mになり茎は太く、地下茎が短く横に這うので大きな株立ちになります。

      ダンチクは別名の「ヨシタケ」でもよく知られています。その語源は外見が、葉がヨシ(アシ)に茎が竹に似ていることにより付けられした。またヨシの漢名の一つが葭(か)でヨシタケは葭竹と書くので葮竹と書き違えダンチクの名が生じたという説もあります。

      ダンチクの茎は丈夫で柔軟性があるのでオーボエやクラリネットなど木管楽器のリード素材や釣り、や杖を作るのに利用されてきました。近年はバイオ燃料の原料として研究の対象となっています。

      花言葉は「神の信頼」です。

      花材:ダンチクの穂、ヘルコニア、りんどう、ドラセナ

  • 平成28年9月の香り
    • 山査子、すすき、吾亦紅、りんどう、女郎花

      山査子(さんざし)は、中国が原産のバラ科の落葉低木で、北半球に約200種が分布しています。大きなもので高さは2メートルほどになり、枝を多く分け棘があります。5月頃白い花を咲かせ秋に赤く実を熟します。その実は食べられるものが多く様々に利用されています。

      中国では古い時代から不老長者の薬として用いられました。またヨーロッパではセイヨウサンザシが良く知られていますが、5月頃花を咲かせることからメイフラワーと呼ばれ、古代ギリシャの頃より神聖な木とされ魔除けにも使われてきました。日本には江戸時代に薬用植物として渡来し、庭木や盆栽としても楽しまれています。

      花言葉は「感謝」「慎重」です。

      花材:山査子、すすき、吾亦紅、りんどう、女郎花

  • 平成28年8月の香り
    • 枯蓮の実・バーゼリア・唐辛子

      バーゼリアはブルニア科ベルゼリア属の常緑低木で南アフリカが原産です。
      樹高は大きいもので1~2mに成長し、晩秋に緑白色の球状の1~2cmの蕾を枝先に散房状に付け、春に白い花を咲かせます。
      ヴィクトリア朝時代にアフリカからヨーロッパに伝わりその後日本にも渡来しました。現在はオーストラリアで栽培され輸入されています。

      バーゼリアの名前はスウェーデンの科学者の名前から付けられましたが、その理由が不明なことでも知られています。別名にはベルゼリア、ボタンブッシュなどがあります。

      花言葉は「小さな勇気」「情熱」です。

      花材:枯蓮の実・バーゼリア・唐辛子

  • 平成28年7月の香り
    • とくさ・ひまわり

      とくさは、トクサ科トクサ属の常緑性のシダ植物で「ナズナ(つくし)」の仲間です。北半球の温帯に広く分布し、日本では本州中部から北海道の山地の湿地に自生し、北半球に分布する15種のうちの9種が日本にあります。

      日陰でも育つことから日本庭園の下草として植えられるなど観賞用に栽培されてきました。

      草丈は30cm~1mほどで、茎にはたくさんの節があり直立した青竹のような姿で茎の中は空洞になっており風で簡単に折れてしまいます。茎の表面は、ざらざらしていて硬く、砥石の代わりにものを研ぐことができることから「砥草」と言呼ばれ、茎を煮て乾燥させたものは紙やすりのように使われ、現在でも漆器や木製品の仕上げに利用されています。音楽家の滝廉太郎がとくさで爪を磨いていたことも有名です。

      また、とくさは薬用にも利用され生薬名の木賊(もくぞく)でも知られています。

      花言葉は、率直・非凡などがあります。

      花材:とくさ・ひまわり

  • 平成28年6月の香り
    • シャクヤク・イボタ・カキツバタ・オクラレルカ

      シャクヤク (芍薬)はボタン科の多年草でアジア東北部が原産です。
      中国の宋の時代に育種が始まり、日本には平安時代に薬草として伝えられ室町時代になると花が観賞されるようになり品種改良が進みました。江戸時代には「茶花」として好まれました。日本では一重咲きで中央部のオシベが大きく盛り上がったものが多くこの花形は「和シャクヤク」と呼ばれ、18世紀にヨーロッパで改良が進められたものは豪華な千重咲き大輪で香りが強いものが多く「洋シャクヤク」と呼ばれています。

      シャクヤクはボタン(牡丹)によく似ていますが、ボタンが樹木であるのに対しシャクヤクは草木で、中国では、ボタンが「花王」と呼ばれるのに対しシャクヤクは花の宰相「花相」と呼ばれています。

      女性の美しさを形容した「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉には解釈が様々ありますが、シャクヤクはまっすぐ伸びた茎の先端に花を咲かせる様を和装の美しい立ち振る舞いと重ね、枝分かれした横向きの枝に花を付けるボタンに座った姿を、百合が風を受けで揺れるのを歩く姿に例えたという説があります。

      花言葉は「恥じらい」「清浄」「威厳」です。

      花材:シャクヤク・イボタ・カキツバタ・オクラレルカ

  • 平成28年5月の香り
    • 糸芭蕉、縞ふとい、サンダーソニア

      糸芭蕉はバショウ科バショウ属の大型の楕円形の葉を持つ常緑の多年草です。 中国が原産で熱帯から亜熱帯に分布し、日本では鹿児島県南部から沖縄にかけて生息しています。

      芭蕉には、実芭蕉・糸芭蕉・花芭蕉があり、実芭蕉は大木のように育ちバナナの実を付けます。糸芭蕉は茎から繊維を取り芭蕉布の原料になります。芭蕉布は沖縄の織物の中でも最も古く13世紀ころから織られ、男女階級に関係なく普段着に使われていました。現在は生活様式の変化から生産は減りましたが、ごく一部の地域でその伝統は受け継がれています。そのようなことから、糸芭蕉には琉球糸芭蕉、琉球芭蕉などの別名があります。

      「奥の細道」で有名な江戸時代の俳諧師松尾芭蕉は改名を数回していますが、「芭蕉」の名前は門人に芭蕉の株を贈られたことに由来すると言われています。

      芭蕉の花言葉は「燃える思い」です。

      花材:糸芭蕉、縞ふとい、サンダーソニア

  • 平成28年4月の香り
    • 雪柳・子でまり・小菊

      ナナカマドはバラ科の落葉高木で、日本を原産とし全国の高山に分布しています。高さは7~10m程度になり、夏に白い花を咲かせ、秋に葉が鮮やかに紅葉し赤い実を付けます。

      ナナカマドの語源は「燃えにくく、かまどに七度いれてもまだ焼き残る」ことからという説が主流ですが、木炭の原木としても使われ材が堅く炭化に7日掛かると言われ「7度焼くと良質の炭になる」いう説もあります。備長について記された古書においても『花鍬樹』として登場し木炭の極上品との記述が残っています。また、食器にすると丈夫で壊れにくく「かまどが7度駄目になるくらいの期間使用できる」からなどの説もあります。

      ナナカマドは、「燃えにくい」ことから火災よけ、落雷除けの木とされ、地域によっては家の軒先に植える風習があったり、神社にも植えられています。そして北海道や東北地方では街路樹としてよく見かけられますが交通安全への願いが込められているそうです。

      花言葉は「慎重」「賢明」「用心」「私はあなたを見守る」などです。

      花材:ナナカマド、トルコキキョウ、レースフラワー、ドラセナ

  • 平成28年3月の香り
    • 雪柳・子でまり・小菊

      雪柳はバラ科シモツケ属の落葉低木です。日本が原産で、本州から西の地域の川沿いの岩の割れ目などに自生してきたことから「岩柳」と呼ばれていました。

      現在、自生種は絶滅が危惧されている植物でもあります。

      しかし元々は丈夫で手をかけずに成長することから、庭木として好まれてきました。根元から多数の枝を伸ばし白い小さな花をたくさんつけて咲く姿を、柳に雪が降り積もった姿にたとえ「雪柳」と呼ばれるようになりました。また、散った花が砕いた米をまいたように見えることから「小米花」「小米柳」という別名も持ちます。

      3月から4月に開花する姿はとても見事で、平安時代には春の中頃を表す季語「仲春」として歌に詠まれていました。

      花言葉は「殊勝」「愛嬌」「懸命」「静かな思い」などがあります。

      花材:雪柳・子でまり・小菊

      3月は各関連施設に「つるし雛」を展示しております。ぜひご覧ください。

      雪柳・子でまり・小菊
      「アイリス港南つるし雛」
      雪柳・子でまり・小菊
      「ルピナス港南つるし雛」
      雪柳・子でまり・小菊
      「病院つるし雛」
  • 平成28年2月の香り
    • 桜・カーネーション・ヒペリカム

      ヒペリカムはオトギリソウ属の半落葉性低木または草花の総称で、ユーラシア大陸の熱帯から亜熱帯の地域にかけ約300種が自生し、春から夏にかけ黄色い花を咲かせ赤い実をつけます。

      日本を原種とするオトギリソウ属はオトギリソウやトモエソウなど20種ほどあり、オトギリソウは切り傷の薬草として使われてきました。

      キンシバイやビヨウヤナギは中国が原産で江戸時代に渡来しています。
      生け花や花束などで見かけるものはヨーロッパ原産のヒペリカム・アンドロサエマムやヒペリカム・カリシナムなどで、園芸用に品種改良されピンク・黒・緑の実を付けるものもあります。

      学名を「Hypericum androsaemum 」といい「像の上」の語源があります。古代のギリシャで祭りの魔除けとして像の上に備えられたことが語源となっています。

      花言葉は「悲しみは続かない」で、花が散った後すぐに可愛らしい実を付けることに由来しています。

      花材:桜・カーネーション・ヒペリカム

  • 平成28年1月の香り
    • 大王松、オンシジューム、スイートピー、さらしシダ

      大王松(だいおうしょう・だいおうまつ)は北アメリカ南部を原産とするマツ科マツ属の常緑高木です。名前が示すように大きなマツで、日本では10メートルほどですがが、原産地では40メートルもの大木になります。
      葉は長さ30~40センチの針形で、3本づつ束生する三葉松で長く垂れさがり15~25センチもの大きなマツかさをつくります。

      マツの中で最も長い葉を持つことから大王勝松の名前が付きました。
      日本ではアカマツや黒松のように2本づつ束生する二葉松や5本の五葉松が一般的ですが、葉が3本あることから「三鈷の松」とも呼ばれ、身に付けていると知恵・慈悲・真心の3つの福を授かり金運に恵まれると言われています。

      花言葉は不老長寿です。

      花材:大王松、オンシジューム、スイートピー、さらしシダ

平成27年 季節の香り

  • 平成27年12月の香り
    • ユーカリ、デルフィニウム、カスミソウ

      デルフィニウムは、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、熱帯アフリカ山岳地帯 など北半球の温帯を中心に約250種類が分布するキンポウゲ科の植物です。
      本来は多年草ですが、暑さに弱く日本など暖かな地域では1年草として扱われています。

      花色は青、紫、白、ピンクなどありますが、ブルー系は品種により濃淡の色幅が広く、その美しさから切り花としても好まれています。
      歴史も古く、古代エジプトの王アフメス1世の棺から青い花が出土されており、魔除けの意味で用いられていたと考えられています。17世紀ころからさかんに改良が進められ、日本には明治初期に渡来しています。

      デルフィニウムという名前は、ギリシャ語のデルフィン(イルカ)に由来し、蕾の形がイルカに見えることから付けられたとされ、和名は花の姿を燕が飛ぶ様子に例え大飛燕草(おおひえんそう)と付けられています。

      花言葉は「清明」「高貴」「尊大」などがあります。

      花材:ユーカリ、デルフィニウム、カスミソウ

  • 平成27年11月の香り
    • 寒桜、西王母椿、リンドウ

      椿は日本原産のツバキ科ツバキ属の常緑樹で、万葉の時代から好まれた日本を代表する花木の一つといえます。

      野生種のヤブツバキやユキツバキが広く知られていますが、野生種をもとに多くの園芸品種が生み出されてきました。
      今回の花材である西王母椿(せいおうぼつばき)は幕末のころ金沢で誕生したとされ、茶花として高く評価されてきました。

      西王母とは中国の神話に登場する女神で、「西遊記」で孫悟空が盗んだ3000年に一度実を結ぶという桃の木の所有者としても知られています。
      花の形が桃の実のように膨らんでいることから西王母の名前が付けられたとされています。

      花言葉は「控えめな優しさ」「誇り」です。

      花材:寒桜、西王母椿、リンドウ

  • 平成27年10月の香り
    • フォックスフェイス・サンゴミズキ(緑)・リンドウ

      フォックスフェイスはブラジルが原産のナス科ナス属の植物です。原産地である低緯度の地域では非耐寒性小低木とされ冬を越しますが、日本などでは寒さに弱いため1年草として扱われています。

      春に種をまき、夏には星形の青紫色の花を咲かせ緑色の果実をつけます。果実は秋になると黄色く色付き、卵形に角状の突起があります。他のナス科植物と同様に毒性があるとされ食用にはされず、観賞用植物として栽培されています。個性的な見た目や、日持ちの良さから生け花の花材として、最近ではハロウィンの飾りとしても利用されています。

      和名はツノナス(角茄子)といい、果実に角のような突起があるナス科の植物に由来しています。また果実の形がキツネの顔に似ていることから「フォックスフェイス」「キツネナス」、黄色いカナリアのように見えることから「カナリアナス」とも呼ばれています。

      花言葉は「偽りの言葉」です。

      花材:フォックスフェイス・サンゴミズキ(緑)・リンドウ

  • 平成27年9月の香り
    • 野茨、アナスタシャ、ソルガム

      ソルガムは、イネ科モロコシ属の1年草で、小麦、稲、とうもろこし、大麦などと並ぶ世界五大穀物の一つです。熱帯アフリカが原産で、乾燥に強いので稲や小麦が育たない地域でも栽培されています。

      その歴史は古く、紀元前3000年ころにはエジプトやエチオピアで栽培されており、紀元前にはアジア伝搬し、日本へは室町時代に中国から伝来しました。

      五穀(キビ)の一つでもあり、別名のモロコシ、タカキビとしても知られ、食用、酒類、工業用ブドウ糖の原料の他、飼料用に栽培されています。

      花言葉は、「財宝」「富」「同意」などがあります。

      花材:野茨、アナスタシャ、ソルガム

  • 平成27年8月の香り
    • 栗の木、孔雀草、吾亦紅、りんどう、女郎花、鶏頭、矢羽根薄

      クジャクソウ(孔雀草)は、キク科シオン属の多年草で、北アメリカが原産です。

      元々は白い花を咲かせシロクジャク(白孔雀)と呼ばれましたが、花色の豊富なユウゼンギクとの交配によりピンクや紫、青など花色が豊かなクジャクソウが誕生しました。

      別名をクジャクアスターといいます。アスターはギリシャ語の「星」を意味し、株を上から見たときに花が放射状についていることに由来し、また長い茎が枝分かれして多数の花を咲かせる様子を孔雀の羽に見立て名付けられました。

      花言葉は「いつも愉快」「ひとめぼれ」などがあります。

      花材:栗の木、孔雀草、吾亦紅、りんどう、女郎花、鶏頭、矢羽根薄

  • 平成27年7月の香り
    • インディアナ、アンスリューム、瑠璃玉アザミ

      アンスリウムはサトイモ科アンスリウム属の、非耐寒性常緑多年草です。
      原産地は熱帯アメリカで、現在500種以上が分布しています。

      光沢のあるハート型の花がとても印象的な植物ですが、実は花に見える部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と言い、蕾を包んでいた葉が色付いたものです。仏炎苞には赤・白・紫・ピンク・緑色やハート型や卵型、細長くとがった形などがあり、そして中央の棒状の部分(肉水花序)が花本体となります。

      花の属名は、その姿からギリシャ語の「anthosauraアンサス(花)」と「ouraオウラ(しっぽ)」が語源となり、英語でも「Tailflower(尾のような花)」と呼ばれています。和名では「オオベニウチワ」と呼ばれています。
      観葉植物や鉢花、切り花としても人気が高く、観賞用に多く栽培されています。

      花言葉には「煩悩」、「飾らない美しさ」、「可愛い」などがあります。

      花材:インディアナ、アンスリューム、瑠璃玉アザミ

  • 平成27年6月の香り
    • タニワタリ、ニューサイラン、エルムレス

      「タニワタリ(谷渡)」はシダ植物門チャセンシダ科の常緑着生シダ植物です。日本南部から台湾に分布し谷間のやや湿った森林の樹幹や岩上に着生しています。

      その姿は、長さ60センチ幅10センチ以上にもなる先の尖った広線形の葉が中心から放射状に延び輪を描くように生え、その中心部はお猪口のように開いています。これは他の植物の落ち葉をここに集め栄養にするためと考えられています。
      姿が谷を渡っているように見えたことが名前の由来となったタニワタリの歴史は古く、古事記には大きな葉を食器のように使っていたと記されています。 光沢のある明るい緑色で葉は波打つようなヴェーブがあり、観葉植物や切り花としても好まれています。

      花言葉は「あなたは私の喜び」です。
      花材:タニワタリ、ニューサイラン、エルムレス

  • 平成27年5月の香り
    • 夏はぜ、百合(スイートメモリー)、ギガンジューム、縞がま

      「アリウム」はユリ科ネギ属の球根植物です。学名Alliu(アリウム)からアリウム属とも呼ばれています。アリウムは北半球に300種以上が分布しており、この種のうち玉葱、ニラ、ニンニクなど多くの種類が古くから野菜として栽培されています。また観賞用とされるものも多く、観賞用の種類の総称をアリウムと呼んでいます。「アリアム・ギガンジュウム」「アリアム・コワニー」「アリウム・シュベルティー」「アリアム・リーキ」「丹頂アリアム」など花の大小、色合いは様々ありますが、伸びた茎先にたくさんの小花が球状にまとまり咲きます。

      今回、生けております「アリウム・ギガンジウム」は、中央アジアに分布し花茎が1メートル前後に伸び、茎先に10センチを超える紅紫の花の大きな花を咲かせます。
      アリウムは「ニンニク」の古いラテン名で「臭い」という意味があり、ギガンジュウムは「巨大な」という意味があります。和名は「ハナネギ」で、ネギのような香りがします。

      花言葉は「正しい主張」です。
      花材:夏はぜ、百合(スイートメモリー)、ギガンジューム、縞がま

  • 平成27年4月の香り
    • ニゲラ、プラチナブルー、オクラレルカ、カスミソウ

      「ニゲラ」は、キンポンゲ科ニゲラ属の1年草で南ヨーロッパの地中海沿岸が原産です。
      草丈は60センチほどで、枝分かれした茎の先端に3~4センチの白・青・ピンクの花を咲かせます。本来の花弁は退化し蜜腺状となり、花弁に見えるのは「がく片」で、細かい糸状の葉に包まれています。花の後にできる果実は熟すと裂けて黒い種を散布させます。

      学名のニゲラ・ダマスケナはラテン語の「Niger(黒い)」「damascena(トルコのダマスカス)という意味で、和名は熟した種が黒いことから「クロタネソウ」といいます。英名では、花がまるでレースに包まれているような形状から「love in a mist(霧の中の恋人)」、先端に角状の突起がある果実から「devil in a bush(茂みの中の悪魔)」と呼ばれています。

      花言葉は「未来」「夢で逢いましょう」などがあります。
      花材:ニゲラ、プラチナブルー、オクラレルカ、カスミソウ

  • 平成27年3月の香り
    • 月桃の葉、チューリップ、フリージア

      「チューリップ」はユリ科チューリップ属の球根植物です。
      原産地はトルコのアナトリア地方で、およそ150種の原種が分布し、その中の1種トウーリパ・ゲスネリアーナから改良された園芸品種が最も親しまれています。
      豊富な花色が揃い、一重、八重、ゆり咲き、ボタン咲き、花先に切れ込みのあるフリンジドなど多くの種類があります。

      古くはオスマン帝国でもてはやされ、オーストリアの大使によってヨーロッパに伝えられました。この際に「チュルバン(ターバン)」と伝わったため現在の「チューリップ」という名が生まれたそうです。後にオランダのライデン植物園で栽培され、上流階級で好まれたのをきっかけに経済混乱にまで発展した「チューリップ狂時代」は歴史上有名です。しかしその時代の品種改良で約1万種もの多種多様な種類を生み、現在でも5000種以上あるとされ日本に出回るものだけでも200種を超えるといわれています。
      日本には、1963年にフランスから伝来し、大正時代に入って球根栽培が始まりました。生産地としてはオランダが有名ですが、日本でも富山県や新潟県で大規模な栽培が行われています。

      花言葉は「思いやり」「博愛」「永遠の愛情」などがあります。
      花材:月桃の葉、チューリップ、フリージア

  • 平成27年2月の香り
    • 桃 菜の花 麦

      「菜の花」とはアブラナ科アブラナ属の花の総称で、「食用の花」という意味があります。私たちが親しむ黄色い花は「ナタネ」のことで、葉から油を採取していたので「アブラナ(油菜)」とも呼ばれています。

      原種は西アジアから北ヨーロッパの麦畑に生えていた雑草ですが、農耕文化とともに移動し東アジアでは古くから栽培されています。日本では弥生時代以降には野菜として利用され、古事記には「吉備のアオナ」として登場しています。室町時代に油を採取し、灯火や食用、肥料として使われるようになり、江戸時代には本格的に採油目的に栽培されるようになります。明治時代になると採油用には別種の「セイヨウアブラナ」が栽培されるようになりました。

      菜の花はその種類により食用、観賞用、修景用に用いられています。 「セイヨウカラシナ」は、丈夫で川原や土手にも繁茂するため河川敷や堤防、空き地に用いられます。春、一面に広がる菜の花畑は壮観で、代表的な春の風物詩でもあります。身近な春の光景として親しまれてきたため、古くから文学や言葉に登場することも多く、花言葉には「快活」「明るさ」「豊かさ」などがあります。

      花材:桃 菜の花 麦

  • 平成27年1月の香り
    • 門松

      「門松」は、正月に家の門の前などに立てられる一対の松や竹の正月飾りのことで「松飾り」とも呼ばれています。
      古くに、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、門松は年神を家に迎え入れるための依り代とされてきました。平安時代、正月に松を家に持ち帰る習慣が始まり、室町時代になると竹を加えるようになり現在のような様式になったと言われています。

      材料、場所、形式ともに地域により異なるようですが、神様が宿ると思われてきた常緑樹の中でも、松は「祀る(まつる)」につながる樹木であり、生命力、不老長寿、繁栄の象徴とされ正月に飾る習慣が根付きました。松竹は「松は千歳を契り、竹は万代を契る」と言われ、依り代(よりしろ)が永遠に続くことを願っての組み合わせでもあります。
      竹の先端部の形状には、斜めに切った「そぎ」と真横に切った「寸胴」の2種類があり、「そぎ」は徳川家康が次の戦への意気込みを表し始めたという説もありますが、切り口が「笑口」に似ていることから「笑う門には福来る」とも言われています。

      写真の門松は、当院スタッフによる手作りで、ルピナス港南の玄関入口に飾ったものです。

      花材:門松

平成26年 季節の香り

  • 平成26年12月の香り
    • 雲竜柳、カスミソウ、ダリア

      「ダリア」はキク科ダリア属の多年生球の球根植物です。現在親しまれているのは野生種を掛け合わせたもので、品種が非常に多く大輪から小輪のもの、一重から八重咲きのもの、花色では青以外はほぼ揃っているとも言われています。

      原産国はメキシコで、15世紀アステカ帝国では神聖な花として栽培されていました。18世紀にスペインにもたらされ、19世紀初めにはヨーロッパ諸国で品種改良が相次ぎ、ナポレオンの皇后ジョセフィーヌに好まれたことで社交界の話題となりました。広く普及したことで更に多種多様な品種が作り出されました。日本には江戸時代にオランダ人によって伝えられ、花の形がボタンに似ていることからテンジクボタン(天竺牡丹)と呼ばれていました。

      花言葉は「エレガント」「華麗」「優雅」などあります。
      花材:雲竜柳、カスミソウ、ダリア

  • 平成26年11月の香り
    • しだれ桑、菊(アナスタシア・ドラクロワ)、シルバーブルーニャ

      くわ(桑)はクワ科クワ属の総称で落葉性の高木です。
      原産地は中国北部から朝鮮半島になります。

      桑の歴史は古く、青森県の三内丸山遺跡から種子が大量に出土しており縄文時代には栽培されていたことがうかがえます。そして弥生時代に養蚕とともに大陸から大量に渡来したと言われています。
      桑の葉は「蚕の餌」として広く認知されていますが、本格的に栽培されるようになったのは養蚕業が大きく発展した江戸時代末期ころからで、日本においてはとても重要な存在でした。 桑の語源は、「食葉くは」「蚕葉こは」に由来するそうです。

      桑は品種が多く日本では養蚕用の「ヤマグワ」が多く栽培されています。今回生けさせて頂いている「しだれ桑」は「マグワ(真桑)」の枝垂れ品種で傘のような樹形をしています。真桑は果実が紅紫色から黒紫色に熟す前に白い色をしていることから別名「白桑」とも呼ばれています。

      花材:しだれ桑、菊(アナスタシア・ドラクロワ)、シルバーブルーニャ

  • 平成26年10月の香り
    • さんざし・バラの実・豆柿・花トウガラシ風船唐綿・シンフォリカルボス・月桃

      月桃(げっとう)はショウガ科ハナミョウガ属の多年草です。
      原産国はインドで、熱帯から亜熱帯アジアに分布。日本には沖縄から九州南部の山野に自生しています。
      高さ2~3mほどに成長し、長さ40~60cm幅15cmくらいのやや硬くつやのある長楕円の葉を付けます。夏に淵に紅紋のある白い花を房状に咲かせ、秋には2センチくらいの実を付けます。

      沖縄では古くから種子を民間薬として、葉は食品を包むのに、茎を乾燥させた繊維を縄や網として用いてきました。
      近年では、葉の成分に防虫・防カビ・殺菌作用があることから消臭剤や防虫剤・石鹸などに、葉からとった精油は香アロマオイルや香料としても使われています。

      花のつぼみが桃のような形をしていることから「月桃」名づけられたと言われています。花言葉は「爽やかな愛」です。
      花材:さんざし・バラの実・豆柿・花トウガラシ風船唐綿・シンフォリカルボス・月桃

  • 平成26年9月の香り
    • すすき、リンドウ、ピンクッション、サンザシ

      サンザシ(山査子)は、バラ科サンザシ属の落葉低木です。
      原産国は中国で、5月頃に白い花を咲かせることから「May flower」という英名が付けられています。秋に熟す赤い実は生薬・果実酒・ドライフルーツなど様々な用途で使われ、盆栽としても好まれています。日本には、江戸時代に薬用植物として渡来しました。

      サンザシ属の植物は、北半球の温帯に約200種類が広く分布しています。
      属名を「Crataegus」といい、ギリシャ語の「Kratos (力)とagein(持つ)」が語源になっています。中国原産の「サンザシ」の他、ピンクの花を咲かせるヨーロッパ原産の「セイヨウサンザシ」もよく知られており、アメリカやヨーロッパでは庭木や街路樹として好まれています。英名を「howthorn ホーソーン 」いい「thorn いばら」が名前に付くように棘があります。その棘が魔除けのシンボルと信じられてきた歴史があり、キリストの「茨の冠」もサンザシで作られていたとされています。

      花言葉は「希望」です。
      花材:すすき、リンドウ、ピンクッション、サンザシ

  • 平成26年8月の香り
    • パンパスグラス、蓮の実、花ナス

      「花ナス」は茄子科茄子属の一年草で、ブラジルが原産国になります。観賞用として栽培され、草丈は1m以上になり、実の色は白、黄、オレンジ色、そして赤と変化していきます。見た目は同属のトマトに似ていますが、食べることはできません。

      属名Solanum(ソラナム)はラテン語のsolamen(安静)が語源になります。この属の植物に鎮静作用を持つものがあるからつけられました。
      花ナスは「赤茄子」「平茄子」「飾り茄子」という別名の他、「ソラナム」という呼名でも知られています。ソラナムは前記したように約1700種もある茄子属の総称でもありますが、実を鑑賞するものに限って「ソラナム」の名で呼ぶことが多いようです。

      花言葉は「あどけない」です。
      花材:パンパスグラス、蓮の実、花ナス

  • 平成26年7月の香り
    • ミリオンバンブ-・ひまわり・ハラン

      「ミリオンバンブ-」はリュウゼツラン科ドラセナ属の常緑低木で、原産地は熱帯アフリカ西部のカメルーンやコンゴになります。
      ミリオンバンブ―は竹の仲間に思われがちですが、正式名称は「ドラセナ・サンデリアーナ」といいドラセナの仲間です。

      ドラセナには約50種類ほどの品種があり、最も知られ出回っているのが「幸福の木」です。ドラセナ属の植物はとても長生きする植物としても有名でその中でも「竜血樹リュウケツジュ」は数千年の寿命を持つとされています。
      ミリオンバンブ-は、葉を取り茎の状態にしたもので、竹に似ていることからついた呼名ですが、ドラセナの特徴である長寿から縁起の良い植物とされ「開運竹」「万年竹」などの別呼名もあります。

      花言葉には「幸運」「長寿」「開運」などがあります。
      花材:ミリオンバンブ-・ひまわり・ハラン

  • 平成26年6月の香り
    • アレカヤシ・デルフィニューム・ミニギガンジューム

      「アレカヤシ」は、ヤシ科の植物の一種です。
      アフリカのマダガスかル島が原産国で熱帯雨林気候地区に分布しています。

      原種は10メートル以上にもなる高木で雄雌異株です。株元からたくさんの茎を出し、古くなった葉が落ちた後、幹に竹の節のような跡が残り、葉の軸が黄色になるので和名を「コガネタケヤシ」といいます。
      名に「ヤシ」が付く通り殻に包まれた種子が生ります。果実は約2センチの楕円形で橙黄色から黒紫色に熟しますが、食用とはされておらず鳥などの食糧元となっており「ヤマドリヤシ」という別名も持っています。

      アレカヤシは約3000種あり、その殆んどの名称が「アレカヤシ」で知られています。現在はディプシス属に分類さていますが、以前アレカ属に分類されていたことの名残と英名「areca palm」からこの名前で親しまれています。

      花言葉は、「勝利」「元気」などがあります。
      花材:アレカヤシ・デルフィニューム・ミニギガンジューム

  • 平成26年5月の香り
    • 丹頂アリアム、縞フトイ、スターチス、カラー、ギボウシ

      「カラー」は、南アフリカ原産地で、現地では6~8種類自生し、大型で水を好む「湿地性種」と小型で乾燥を好む「畑地性種」に分けられます。
      花のように見える白い部分は、サトイモ科特有の「仏炎苞ぶつえんほう」と呼ばれ、漏斗状に巻きいています。中にある棒状の黄色の部分(肉穂花序)が花になります。

      カラーの正式名称は「オランダカイウ」と言います。
      海芋(カイウ)とは「海外の芋」という意味で、江戸時代末期にオランダから伝わったのが和名の由来です。本来はミズバショウを指す名前だったようですが、カラーが渡来した際に入れかわったといわれています。
      「カラー」は、サトイモ科オランダカイウ属の球根多年草ですが、以前はサトイモ科のカラー属に分類されていました。その名残で、現在でもオランダカウイ属の植物はカラーと呼ばれています。

      「カラー」はギリシャ語の美しいを意味する「カロス」に由来し、白い仏炎苞の部分が修道女の襟に似ていることから名付けらましたれた。

      花言葉には、「素晴らしい美」「清浄」「乙女のしとやかさ」などがあります。
      花材:丹頂アリアム、縞フトイ、スターチス、カラー、ギボウシ

  • 平成26年4月の香り
    • イチハツ

      「イチハツ」はアヤメ科アヤメ属の多年草です。
      中国原産の植物で、中国中部から南西部、ミャンマー北部にかけて自生しています。
      他のアヤメ科のアヤメ、ショウブなどと形態がよく似ていますが、葉は3~4cmと幅が広く、花径は約10cmと大型です。花びらの中央に白い鶏のトサカ状の突起があるのが特徴です。

      日本には室町時代に渡来し、当時は「コヤスグサ」と呼ばれていましたが、アヤメの類で一番先に咲くことから「一初(イチハツ)」の名が付いたと言われています。
      学名を「Iris tectorum Maxim」といい、「iris」はギリシャ語で「虹」や「虹の女神イリス」を意味し「tectorum」は「屋根の」という意味です。
      昔は日本各地で大風や火災を防ぐ魔除けとしてイチハツを農家の茅葺屋根の棟の上に植える風習があったり、ギリシャ神話の虹の女神イリスが天上と地上を結ぶ虹の橋を渡って使者を務めたという神話が学名に反映しているようです。

      花言葉は「知恵」「使者」「付き合い上手」「火の用心」などがあります。
      花材:イチハツ

  • 平成26年3月の香り
    • 青文字・馬酔木・ヘルコニア

      馬酔木(あせび)は、ツツジ科アセビ属の耐寒性常緑低木で、日本の本州・四国・九州の乾燥した山地に自生し観賞用としても植栽されています。
      樹高は1.5mから4mほどで、葉は楕円形の濃緑色で表面につやがあります。早春になると可愛らしい白または桃色の壺形の小花を房のようにたくさん付け、秋には炸果状の実をつけます。

      学名を「Pieris japonica」といい、アセビ属を指すPieris(ピリエス)はギリシャ神話の「詩の女神ピリエス」に因んでつけられています。万葉集でも多く詠まれていたこの植物は,明治時代の有名な短歌雑誌名でもあります。
      馬酔木の名は「馬が葉を食べると毒にあたり、酔うが如くにふらつくようになる木」というところに由来します。庭園や公園にも好んで植えられていますが、多くの草食動物は食べることを避けるため草食動物の多い地域ではこの木は目立って多くなります。
      また葉を煎じて殺虫剤としても利用されており、最近ではその効果を自然農薬として利用する試みがなされています。

      花言葉には「犠牲」「純真な心」「献身」などがあります。
      花材:青文字・馬酔木・ヘルコニア

      今回は珍しい満開の青文字と一緒に生けております。

  • 平成26年2月の香り
    • 桃・雪柳・アイリス

      桃はバラ科モモ属の落葉小高木です。春に多重弁の花を咲かせ、夏に果実を実らせます。花色は通常淡紅色ですが、白から濃紅色まで様々なものが知られており、食用・観賞用として世界各地で栽培されています。

      原産地は中国西北部の高山地帯で、紀元前4世紀頃シルクロードを通りペルシアを経由してヨーロッパへと伝わりました。日本には朝鮮半島を通して伝わり、最も古いものでは長崎県で縄文時代前期の桃核が出土しています。
      古い時代から邪気を祓い不老長寿を与える力があると考えられ神事に用いられていました。「古事記」では伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、桃の実を黄泉の国の追手に投げつけて退散させたり、民話「桃太郎」では桃から生まれた男児が成長し鬼退治をします。また3月3日の「桃の節句」は、桃の加護により女児の健やかな成長を祈る行事です。

      桃が食べられるようになったのは鎌倉時代からで、現在食されている甘味の強い桃は明治時代に輸入されたのち品種改良を重ねたものです。

      花言葉は「栄光」「華麗」「頑強」などがあります。
      花材:桃・雪柳・アイリス

  • 平成26年1月の香り
    • 苔梅、根引き松、グロリオサ、千両、ピンポン菊

      千両はセンリョウ科の常緑低木です。日本では関東以西の比較的暖かい常緑樹林下に自生し、7~8月に黄緑色の花を咲かせ、冬に赤い実を付けます。その様から草珊瑚(くささんご)という別名でも呼ばれています。

      千両は、冬の寒い時期に赤い実を豊かに付ける貴重な植物でその価値はお金(千両)に値するという意味で名付けられ、万両と共に正月の飾りには欠かせない縁起木としても知られています。
      千両と万両の違いは、千両は葉の上に実を上向きに付け、万両は葉の下に実を下向きに付けます。千より万両の実の方が重いという発想から万両の名前は付いたという説もあります。
      似た植物に百両(からたちばな)・十両(やぶこうじ)・一両(ありどおし)があり、同じように名前に「両」の字が付いています。

      花言葉は「利益」・「裕福」・「富」・「冨貴」・「可憐」などがあります。
      花材:苔梅、根引き松、グロリオサ、千両、ピンポン菊

平成25年 季節の香り

  • 平成25年12月の香り
    • 葉らん・グロリオサ

      グロリオサは熱帯アジア・アフリカ原産のユリ科グロリオサ属の植物の総称です。 球茎(きゅうけい)を持つ落葉性つる性の多年草で、葉先が巻きひげになり他の植物に絡みつきます。
      花色は鮮やかな赤やオレンジ・黄色などがあり、花びらは反っています。

      「グロリオサ」の名前はギリシャ語のグロリオサス(栄光ある・名誉ある)に由来し、和名は「ユリクルマ」「キツネユリ」と呼ばれています。キツネユリは花の姿をキツネに見立て付けられた名前だそうです。
      また英名では「グローリー・リリーGlory Lily(栄光のユリ)」「フレイム・リリーFlame Lily(炎のユリ)」と呼ばれています。

      花言葉は「栄光」「華麗」「頑強」などがあります。
      花材:葉らん・グロリオサ

  • 平成25年11月の香り
    • キャラ・ツルウメモドキ

      蔓梅擬(ツルウメモドキ)は、ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉ツル性で雄雌異株になります。東アジア一帯に自生し、日本でも各地で生育し古くから親しまれています。

      5月頃黄緑色の花を咲かせ、秋になり果実が淡黄色に熟すと3つに裂開して仮種皮に被われた赤い種子が現れます。この真っ赤な種子と黄色い仮種皮のコントラストは何とも言えない美しさと可愛らしさです。
      学名は「Celastrus orbiculatus Thunb」と言い、属名のCelastrus「ケラストルス」はギリシャ語のケラス「晩期」の意味で実が熟するのが他の植物より遅いことにちなみます。和名の「ツルウメモドキ」は、葉の形や若枝が梅に似ていてツルになることに由来し、別名「蔓擬(つるもどき)」とも呼ばれています。

      花言葉は真実・強運・大器晩成などがあります。
      花材:キャラ・ツルウメモドキ

  • 平成25年10月の香り
    • ススキ、りんどう、けいとう、女郎花、吾亦紅

      「りんどう」は、リンドウ科の多年草で秋の代表花とも言えます。
      原産地は世界のほぼ全域とされ約400種類が分布しています。日本でも本州から四国・九州の湿った野山に自生し、釣り鐘型の花を茎の先に上向きにいくつも咲かせます。花は日光を浴びると開き夜は閉じます。

      りんどうは漢名を「竜胆、学名を「ゲンチニア」と言います。
      「りんどう」という和名は漢名の「竜胆りゅうたんの読み方が変化したものと言われています。りんどうの根はとても苦味が強く健胃薬として用いられてきました。その苦味は「熊の胆より苦いことから熊より上位の竜の名「竜胆」が付けられたそうです。

      花言葉は、群生せず1本ずつ咲く姿から「あなたの悲しみに寄り添う」「誠実」「正義」などあります。
      花材:ススキ、りんどう、けいとう、女郎花、吾亦紅

  • 平成25年9月の香り
    • バラの実・唐辛子・ピンクッション

      野ばらが咲いた後に実る「バラの実」は、「ローズヒップ」の別名でよく知られています。
      野ばらにはヨーロッパノバラ、ノイバラ、イヌバラ、ロサ・カニーナなどあり、バラ科の多年生で草丈100~300cm淡いピンクや白の一重の花で一期咲きです。

      もともと10数種の野生バラが日本各地の山野に多く自生していましたが、西洋に渡り房咲きに改良されました。秋には赤い実をたくさんつけ収穫されます。 現在はローズヒップ生産のため、ばらの特定品種が栽培されています。
      ローズヒップは生け花やリースに使われる他、古くは薬として用いられていました。現在はビタミンⅭやミネラルが豊富なことから美容健康によいとされハーブティやジャム、アロマオイルとして利用され親しまれています。

      花言葉は「無意識の美」です。
      花材:バラの実・唐辛子・ピンクッション

  • 平成25年8月の香り
    • 三ツ又、パンパスグラス、ほおずき

      パンパスグラスはイネ科シロガネヨシ属の多年生植物で日本には明治中期に渡来しました。 原産国はブラジル、アルゼンチン、チリなどの南米大陸です。 「アルゼンチン近辺の草原地域『パンパ』に生えているに生えるグラス(芝)」が名前の由来になっています。

      高さは2から3m程になり、細長い葉が根元から密生して伸び、夏から秋にかけ垂直に立ち上がった茎に長さ50から70cmの花穂をつけます。大型に成長する株には、雄株と雌株があり、雄株の花穂が細長いのに対し雌株は絹糸状で銀白色の毛を密生させます。 この姿からシロガネヨシ(白銀葦)という別名でも呼ばれています。 一見ススキに似ていますが、その存在感とインパクトから観光地などで植えられ夏から秋に掛けての風物詩として楽しまれています。

      花言葉は、「光輝」「人気」「雄大な愛」などあります。今回はグリーンに染めたパンパスグラスを使用しています。
      花材:三ツ又、パンパスグラス、ほおずき

  • 平成25年7月の香り
    • アガパンサス

      アガパンサスは南アフリカ原産の、ゆり科の多年草です。
      園芸品種は300種以上ありますが、開花時期や草丈などバラエティーに富んでいます。

      細長くやや肉厚な葉を広げ、長い花茎を伸ばした先端にユリ状の花を20~30個散形状につけます。花色は濃紫・淡青・白などあり、6~7月に花を咲かせます。
      寒さ・暑さに強く、根が太くて丈夫なので、土手などで土の流出を防ぐため用いられることもあります。
      語源はギリシャ語のAgape Anthos<アガペ アンザス 愛らしい花>に由来し、 葉や花のつき方がヒガンバナ科の君子蘭に似ているため、和名は「紫君子蘭」とされています。

      花言葉は、「恋の訪れ」「知的な装い」「実直」などがあります。
      花材:アガパンサス

  • 平成25年6月の香り
    • ふとい・エルムレス・スモークツリー

      「スモークツリー」は南ヨーロッパ、ヒマラヤ、中国を原産とするウルシ科の落葉小高木で日本には明治時代に渡来しました。
      雄雌異株で、樹高4mから5mになります。

      5月から6月に3mm程の小さな淡緑色の花を穂状にたくさん咲かせ、花色は次第に紫色を帯びて来ます。花が散った後、雌株は不捻花(実を結ばない花)の枝部分が長く伸びて羽毛状になり全体に煙がかったように見えます。
      この姿が「スモークツリー」の名前の由来で、別名に「霞の木」「煙の木」などがあります。また和名は「白熊の木(ハグマノキ)」と言い、ヤクの白い尻尾を意味するハグマ(白熊)で作られた払子(ほっす)に見立て付けられたと言われています。

      樹皮から採れるタンニンは皮のなめしに使われ、幹からは黄色の染料が採れます。
      原産地の中国では「黄櫨(おうろ)」と呼ばれ古くから染料として用いられていました。唐の時代に心材を用いて黄色く染めた服は高貴な色として皇帝のみに使用され、この様式は日本にも伝わり「黄櫨染」の衣服は天皇以外の着等を禁じた「絶対禁色」とされた時代もあったそうです。

      花言葉は、「煙に巻く」「賢明」「賑やかな家庭」などがあります。
      花材:ふとい・エルムレス・スモークツリー

  • 平成25年5月の香り
    • 丹頂アリウム・イキシア・クッカパラ

      「イキシア」は、南アフリカを原産とするアヤメ科イキシア属の50種の総称です。

      球根で育つ多年草で、草丈は30~35センチほどです。4月から6月に細長い茎の先に10数個の花を穂状に付け、白・赤・ピンクなどの花を咲かせます。その蕾は陽に当たると開き、暗い所では花が閉じると言われています。
      属名でもある「イキシア」の由来は、古いギリシャ語で「鳥もち」という意味で茎や葉を傷付けると出て来る液がネバネバしていることによります。英名は「アフリカン・コーン」といい南アフリカのとうもろこし畑に生えていたことから付けられたそうです。和名は「槍水仙」で知られています。

      花言葉は「誇り高い」「人生の出発」などあります。
      花材:丹頂アリウム・イキシア・クッカパラ

  • 平成25年4月の香り
    • リアトリス・カンパニュラ・トルコキキョウ

      「カンパニュラ」は、キキョウ科ホタルブクロ属の地中海沿岸地方原産の植物から改良された観賞用植物の総称です。北半球の温帯に約300種分布し、日本にも数種自生しています。大半は多年草ですが、今回生けさせて頂いた「カンパニュラ・メディウム」は2年草とされています。草丈は60cmから1.5mくらいで、花は晩春から夏にかけて咲くものが多く、釣り鐘状の3~8cmの花を数輪咲かせます。花色は、紫・白・ピンクなどで横向きに咲くものがほとんどですが、改良により受け咲きや下向き咲きもみられるようになりました。

      学名の「カンパニュラ」は花の形状からラテン語のカンパナーラ(小さな鐘)に由来し、和名の「フウリンソウ(風鈴草)」や「ツリガネソウ(釣鐘草)」もこの花の咲く姿から、また英名の「bellflowerベルフラワー」・「canterbury bellカンタベリーベル」は、イギリスのカンタベリー寺院に集まる巡礼の人々が鳴らした鈴に似ていることからつけられたと言われています。

      花言葉は誠実・感謝・友情です。
      花材:リアトリス・カンパニュラ・トルコキキョウ

  • 平成25年3月の香り
    • 桜・金魚草・かすみ草

      金魚草はゴマノハグサ科キンギョソウ属の植物で南ヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸部が原産地です。日本には江戸時代後半に渡来したとされています。
      一般的に園芸では一年草とされ、秋に蒔かれた種は春から初夏にかけて赤・ピンク・白・橙・黄色などの花を咲かせます。本来は耐寒性の多年草で、こぼれ種でよく増え年月が経つにつれ茎が木質化するのだそうです。

      また古くから香りの強い花と知られていたようで、ドイツでは古来より「においの強い草は魔除けになる」と信じられ金魚草を家の入り口や家畜小屋に下げてお守りにしていたそうです。和名「金魚草」の由来は、花の姿をひれを広げ泳いでいる金魚に見立てたことによるそうです。また英語のsnap-dragonは口を広げぱくりと噛み付いた龍の姿に例えたもので、フランス語のgueule-de-loupは狼の口、学名のアンティリヌムはギリシャ語で「鼻のような」を意味し、所により見方は違っても花の形からの連想で名付けられているようです。

      花言葉は仮定・推測・予知・おしゃべりなどがあります。
      花材:桜・金魚草・かすみ草

  • 平成25年2月の香り
    • アマリリス

      アマリリスは、ヒガンバナ科ヒッペアストルム属の園芸雑種です。原産は南アメリカでその原種は70種に及びます。
      アマリリスは多年草の球根植物としても知られています。

      球根から線状または帯状の葉・長い花茎を直接出し花茎の先端に2から4輪の花を咲かせます。葉と花茎は成長の速度が違うため、花茎が葉組の中心からではなく脇から出てくることも特徴の一つです。花はユリのようなラッパ状で白・赤・オレンジ・ピンク・網目状に色が付くものなど多彩です。現在の最もポピュラーなアマリリスは大輪丸弁ですが、原種の花はとても小さいそうです。これらの数種を交配させ改良を繰り返し、今では小さな花から花径20センチもの大輪を咲かせるものまで多数の園芸品種が栽培されています。

      属名のヒッペアストルムとはギリシャ語のヒッペオス(騎士)とアストロン(星)からなり、「アマリリス」という呼名は、古い属名(アマリリス属)がそのまま残ったもので、古代ギリシャやローマの詩歌に登場する羊飼いの名前アマリリスに由来するといわれています。

      花言葉には「誇り」「素敵」「内気」「すばらしく美しい」などがあります。
      花材:アマリリス

  • 平成25年1月の香り
    • 万年青

      万年青(おもと)は、ゆり科の常緑多年生草本で本州南部から九州地方にかけての暖地に分布しています。原産国は日本とも中国とも言われ、品種が多く現在は1000品種を越えるといわれています。
      栽培の歴史は室町時代のころからといわれ、主に薬用として用いられていたそうです。江戸時代に鑑賞用に盛んに育種・改良され、明治時代以降もその美的基準において栽培されており「古典園芸植物」の一つとしても知られています。

      名前の由来は「大本(おおもと)」の意味で、その大きな株を表現したものと言われています。漢名でもある「万年青」が示すように青々として常にその色を変えず、初冬に色鮮やかな美しい実が熟し絶えることなく殖え続けていく様に、「庭に植えると災難を防ぎ、万年も家が栄える」といわれ、縁起のよい植物として広く栽培されるようになったそうです。

      赤い実を付けた万年青の鑑賞は古くからされており、1490年頃描かれた雪舟の「四季花鳥図」の中にも登場しています。また徳川家康が江戸城入城の際、三種(鉢)の万年青を「天福(天から賜る幸い、天与の幸福、祝辞)の霊草」として献上され真っ先に居城に持ち込み床の間に飾り入城したという有名な故事があります。その後の徳川家の繁栄から「転居の際には万年青を一番最初の荷物として家に入れると縁起がよい」と家内安全を祈る風習が広がり「引越し万年青」と呼ばれるようになりました。

      花材:万年青

平成24年 季節の香り

  • 平成24年12月の香り
    • スプレーカーネーション・姫杉・綿の木・塗りつつじ

      「カーネーション」はナデシコ科ナデシコ属の多年草です。
      原産は南ヨーロッパ・西アジアで、その可憐な容姿は古くから愛されてきました。
      原種の栽培は古代ギリシャ・ローマ時代からといわれ、鑑賞以外にもワインの香りづけに使われたそうです。一説によると、紀元前55年頃にイギリスに持ち込まれ17世紀に改良が進み20世紀にはアメリカで品種改良が盛んに進められました。

      日本には江戸時代初期にオランダから渡来しました。当時はオランダセイチクと呼ばれナデシコの一種に位置づけられていたようです。しかし国内での生産には至らず、大正時代以降の温室の普及により生産化が進み日本でのカーネーションの名前が定着しました。
      原種の花色は鮮赤色だったそうですが、現在は花色も豊富で絞りや覆色のものもあります。

      カーネーションは「十字架に架けられたキリストに聖母マリアが涙した後咲いた花」という逸話があります。中央部の赤色は、キリストの体から散った血の色ともいわれています。
      名前の由来は、古代ギリシャ時代、主神ゼウスにカーネーションで作った花冠を奉げる習慣がありました。そこで花輪を意味するラテン語CORONAに因みCARNATIONと名付けられたといいます。

      花言葉には「母の愛」「純粋な愛情」「熱愛」などがあります。
      花材:スプレーカーネーション・姫杉・綿の木・塗りつつじ

  • 平成24年11月の香り
    • ヘルコニア フミリス・斑入りモンステラ・風船唐綿

      ヘルコニアは、オウムバナ科オウムバナ属の非耐寒性常緑多年草です。
      以前はバショウ科に分類されていましたが、一般的にはオウムバナ属約80種の園芸名 「ヘリコニア」として知られています。

      原産地は熱帯アメリカ・南太平洋諸島などです。草丈は50cmから7mと種類により異なり、葉は長楕円形で、オウムのくちばしが連なったような鮮やかな花序が直立するものと下垂するものがあり、1本の茎に緑・赤・黄色などの多数の花苞をつけます。花が美しい種類、葉が美しい種類があるそうです。
      日本では温室栽培されており、鳥類が花粉を運び受粉させる「鳥媒花」としても有名です。ヘリコニアの名前はギリシャ神話の芸術・科学の女神ムーサの住む「ヘリコン山」に由来し、ヘリコン山に咲く花は、アポロ神のようにいつも若々しく瑞々しいためという説があります。

      花言葉は「注目」・「脚光」・「風変わりな人」などがあります。
      花材:ヘルコニア フミリス・斑入りモンステラ・風船唐綿

  • 平成24年10月の香り
    • ススキ・けいとう・りんどう・吾亦紅・女郎花

      「薄」(ススキ)(または「芒」)は、イネ科ススキ属の多年生草本です。
      日本全国日当たりの良い山地によく見られ、1~2mほどの高さに成長し、夏から秋にかけて茎の先端から長さ20から30cmくらいの十数本に分かれた花穂をつけます。夏緑性で冬は枯れますが、沖縄などでは常緑となり高さ5m程まで成長します。

      縄文時代の頃から屋根を茸く材料に広く利用され「茅(かや)」とも呼ばれてきました。また、古名「尾花(おばな)」としても知られており、花穂を動物の尾に見たてたことが語源となったそうです。
      代表的な秋草の一つであり、十五夜の月見には萩とともに飾られます。「秋の七草」をご存知でしょうか。秋の七草とは、春の七草とは異なり観賞を目的として選ばれた秋草七種(萩・ススキ・葛・撫子・女郎花・桔梗)を指しています。万葉集に収められた山上憶良の歌に日本の代表的秋草を詠まれたことに始まると言われています。

      「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
      「萩の花 尾花 葛花 撫子が花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝顔が花」

      山上憶良

      花材:ススキ・けいとう・りんどう・吾亦紅・女郎花

  • 平成24年8月の香り
    • パンパスグラス・ほおずき・蓮の実

      ほおずきは、ナス科ホオズキ属の多年草です。
      原産国は東南アジアで、世界中でその土地の環境に応じて変化し約80種類が分布しており、日本には古い時代に渡来したとされています。
      観賞・食用を目的として栽培され、食用は秋田県や北海道で生産され甘酸っぱく「ストロベリートマト」という名で出荷されていますが、観賞用は毒性と苦味があるため注意が必要です。

      6~7月頃に淡い黄色の花を咲かせます。花の後に六角状のガクの部分が発達して果実を包む袋状になり、熟すとオレンジ色になります。この開花時期にあわせて日本各地で「ほおずき市」が開催されていますが、中でも7月上旬に開かれる東京浅草の「ほおずき市」は江戸時代から続いており、規模と人出の多さで有名です。浅草「ほおずき市」の始まりは、東京都港区の愛宕神社の縁日でほおずきが薬草として売られており、煎じてのむと子どもの疳の虫や大人の癪によく効くとされ参拝土産に持ち帰るのが通例だったそうで、これが浅草寺に波及したと言われています。
      江戸時代には七夕のお供物として飾られていたそうで、現在も提灯に見立てお盆には飾られていることはご存知のことと思います。

      名前の由来は諸説あり、「果実を鳴らして遊ぶ子どもたちの頬の様子から『頬突き』と呼ばれるようになった。」「カメムシ(古名ホウ・ホオ)がこの植物に集まり吸汁することから『ホオ好き」と呼ばれるようになった。」などあります。

      花材:パンパスグラス・ほおずき・蓮の実

  • 平成24年7月の香り
    • 檜扇(ひおうぎ)

      檜扇(ひおうぎ)は、アヤメ科アヤメ属の多年草です。
      山野の草地や海岸に自生し、高さは60から120センチメートル程度になります。
      葉は長く扇状に広がり、7月から8月ころに花を咲かせます。花弁はオレンジ色で午前中に咲き夕方にはしぼむ一日花で、花の後の秋頃に黒い種子を付けます。
      名前の由来は、「葉の部分が、平安時代初期に作られ主に宮中の男性の持ち物であった檜扇(ヒノキの薄板を繋ぎ合わせて作った扇)を開いた姿に似ていることから」と言われています。

      檜扇は日本三大祭の一つに挙げられる京都八坂神社の祭礼「祇園祭」に欠かせない花としても有名です。一ヶ月にもわたる祇園祭の期間、山鉾町などの軒先には檜扇が必ず飾られます。祇園祭は元々、疫病を流行らせている悪霊の怒りを鎮めるために始められた祭礼であり、檜扇は古代に悪霊退散したという言い伝えから厄除けの花として飾られ欠かせないものになったようです。
      また檜扇の黒い種子は、俗に「ぬばたま」もしくは「うばたま」と呼ばれ、和歌では「黒」や「夜」にかかる枕詞としても知られています。

      「ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生(ひさぎお)ふる清き川原に 千鳥しば鳴く」

      山部赤人 万葉集より

      花材:檜扇(ひおうぎ)

  • 平成24年6月の香り
    • ナツハゼ・姫百合

      ナツハゼは、日本・朝鮮半島・中国原産のツツジ科スノキ属の落葉低木で、山地・丘陵地に生育します。
      学名はVaccinium oldhami といい、「Vaccinium」はコケモモの意、「oldhami」は江戸時代にイギリス王立キュー植物園から植物採集のため日本に派遣された人物の名前に由来します。

      和名の「ナツハゼ」は、夏にハゼノキのような紅葉が見られることに由来しています。もともと春の新芽も赤みを帯びていますが、日光を十分に浴びて生育したものの中で、春の終わり頃から葉が再び赤くなるものがあります。これは葉緑素が少なくなったためであり、日陰に生育しているものに夏の紅葉は起こりません。

      花期は5月から6月頃で、枝先5cm程の総状花序を出し可愛らしい鐘状の淡黄赤褐色の小さな花を下向きに多数つけます。その後7~8mmの球状液果の果実を実らせ、秋になると黒色に熟します。この実は食用になり、生食の他ジャムや果実酒にも加工されています。
      果実の上部にガクの痕がリング状に残るため、鉢巻に見立ててハチマキイチゴ・ハチマキブドウ・クロマメノキなど地域により様々な別名が付けられています。

      花材:ナツハゼ・姫百合

  • 平成24年5月の香り
    • オクラレルカ・葉欄・バラ

      バラは、バラ科バラ属に含まれる植物の総称です。
      北半球の温帯域に広く自生しており、チベット周辺・中国の雲南省からミヤンマーにかけてが主産地とされ、バラ属の原種は世界に約120種自生していると言われております。

      「花の女王」と称されている現在の園芸バラの多くは、野生種8種を先祖とし、それらの交配によるもので、内3種類は日本原産(ノイバラ・テリハノイバラ・ハマナシ)と言われています。中世以降観賞用に品種改良が進み、19世紀には3000を超える新品種が作り出され今日に至っています。

      バラの起源は約7000万年前にまで遡ると考えられており、紀元前500年頃の中国王朝における栽培の記録が残されています。
      また、多くの神話に登場し古代史に名を残す人々との逸話が多く残されています。共通することは「愛・喜び・美・純潔の象徴」としての存在です。
      日本人にとっても古くから身近にあり、「万葉集」や「源氏物語」にも登場していますが、現在のように愛好されるようになったのは国内に自生するバラではなく江戸時代に西洋から持ち帰られたいわゆる「西洋バラ」で、明治以降のことです。

      我が「ばらのまち福山」においても、バラは市の花に制定されシンボルマークにも使用されています。戦後1956年に街に潤いを与え人々の心に和らぎを取り戻そうと1000本のばらの苗を植えたことが、ばらのまちづくりの発端となったそうです。
      今年度も様々なバラが美しく咲き誇る中「ばら祭り」が催され多くの人々が魅了されました。

      花材:オクラレルカ・葉欄・バラ

  • 平成24年4月の香り
    • 裏白の木・あざみ・鳴子百合

      「裏白(ウラジロ)の木」は、日本が原産地です。バラ科ナナカマド属の落葉高木で高さは数メートルから大きいものでは15メートル程にまでなります。

      葉の表面には扇子を思わせるようなプリーツ状の重鋸歯があり、春先の新芽の頃は葉の裏表両面が白い毛で覆われ、淡い緑色になります。表面の白い毛が早い時期に抜け落ちると濃緑色へと変わっていきますが、裏面は紅葉の季節の頃まで白さが残ります。
      5月頃になると小枝の先に白色5弁の花を咲かせ、秋には赤い果実をつけます。
      名前の由来は、葉の裏面に白い綿毛を密集し白いことによると言われています。

      「裏白の木」は生け花では「銀葉(ギンバ)」と呼ばれていますが、当地域の皆様には「白波(シラナミ)」という呼び名の方が、馴染み深いのではないかと思います。 「シラナミ」という呼び名は広島県西部沿岸域での呼名で、地域により「キリン」「山梨」など様々に呼ばれており、其々の地域の呼名が根強く正式名称の「裏白の木」はあまり知られていないようです。

      花材:裏白の木・あざみ・鳴子百合

  • 平成24年3月の香り
    • さんしゅ・西洋菊・かすみ草

      さんしゅ(山茱萸)はミズキ科の耐寒性落葉小高木です。
      中国及び朝鮮半島が原産で、江戸時代に朝鮮経由で漢種の種子が日本に持ち込まれ 薬用植物として栽培されはじめました。現在では観賞用として庭木に多く用いられています。

      高さが3~15mになり、2月から5月に若葉に先駆け鮮黄色の小花を木一面に集めてつけ、晩秋には紅色楕円形の実をつけます。
      早春、木一面に黄色の花をつけることから「ハルコガネバナ」、秋のグミのような赤い実を珊瑚に例えて「アキサンゴ」「ヤマグミ」などの別名を持ちます。
      「さんしゅ」は、中国名「山茱萸」の音読みがそのまま和名の由来となっており「茱萸」はグミのことです。

      早春を代表する花木で春の季語ともなっており、花言葉は「持続」「耐久」「強健」です。
      花材:さんしゅ・西洋菊・かすみ草

      3月23日に当院で「ソプラノクラッシックコンサート」が催されました。
      会場に飾らせて頂いた花と玄関正面の迎え花です。

      本桜・ミモザ・グロリオサ・チューリップ・ラナンキュラス・かすみ草 ワラビ・ラナンキュラス・グロリオサ・てんもん草

      花材:本桜・ミモザ・グロリオサ・チューリップ・ラナンキュラス・かすみ草
      花材:ワラビ・ラナンキュラス・グロリオサ・てんもん草

  • 平成24年2月の香り
    • あおもじ

      「あおもじ(青文字)」はクスノキ科ハマビワ属の落葉小高木です。
      東南アジアが原産の帰化植物で中国・九州地方の山地に生育しています。

      若枝や樹皮は暗緑色で、葉とともに香気があります。雄雌異株で早春、雄花は濃黄色、雌花は淡黄色の花をつけ雄株の花の方が大きく量も多いそうです。
      雌株には秋に球状のレモンのような香りの果実が黒く熟し香料に使われています。
      「あおもじ」の名は同じクスノキ科で楊枝の材料にされている「くろもじ」に対して付けられた名前で、小枝が緑色をしていることによるそうです。
      樹皮は「くろもじ」と同様、高級楊枝の素材として利用されています。

      もともとは、長崎市周辺から九州西側が分布の中心で、長崎地方では卒業式の前後に枝先に無数の小花を付けることから「卒業花」とも呼ばれているそうです。
      他にも材に芳香があることから「ヤマコショウ」「ショウガノキ」などの別名を持ちます。

      花材:あおもじ

  • 平成24年1月の香り
    • 梅

      「梅」はバラ科サクラ属の落葉高木です。
      原産国は中国で、遣隋使が持ち帰ったといわれています。奈良時代以前に花といえば梅をさすことが多かったそうです。梅より桜が愛好されるようになったのは平安時代中頃で、江戸時代以降、花見といえば桜の花を見ることとされるようになりました。

      梅は1月終わり頃から4月初め頃までに白、またはピンクから赤の花を葉に先立って咲かせます。桜と違い咲き方も散り方もゆっくりで、雪霜をしのぎ他の花より早く咲くので「春の魁(さきがけ)」ともいいます。他にも好文木・春告草・木の花・初名草などの別名があります。

      学問の神として親しまれている菅原道真もまた梅を好み、大宰府に左遷される後を追い梅ノ木が飛んできたという飛梅の伝説は有名です。厳しい寒さの中で枝を張り、蕾をふくらませ、枝々に凛とした花をさかせる様に初春を寿ぐめでたい祝いの花として好まれます。
      今回は梅の「ずわえ(若枝)」を添え、若枝があたかも雲を凌ぐような勢いを表し生けさせて頂いております。

      花言葉は「厳しい美しさ」「あでやかさ」です。
      花材:梅

平成23年 季節の香り

  • 平成23年12月の香り
    • 寒桜・ピンクッション・モンステラ

      一般的に秋から冬にかけて咲く桜は総じて「冬桜」と呼ばれています。
      寒桜、寒緋桜、十月桜、不断桜などがあり、紅葉狩りと一緒に桜を楽しんだり、今の寒い季節に桜の名所と言われる場所があるそうです。ちなみに総称とは別に「冬桜」という品種の桜もあります。

      今回は寒桜をいけさせて頂きました。
      「寒桜」はバラ科サクラ属の落葉高木で大島桜(又は山桜)と寒緋桜の自然交配種といわれており晩秋から早春に淡紅白色の花を咲かせます。
      江戸時代後期から関東地方以西の暖地で栽培され、松山市の「薄寒桜」や熱海市の「熱海桜」が有名で、福山市では、新市町の備後一宮吉備津神社の寒桜が知られています。

      花言葉は気まぐれ・高尚です。
      花材:寒桜・ピンクッション・モンステラ

  • 平成23年11月の香り
    • 放射線科のご紹介

      キャラ(伽羅)はイチイ科イチイ属の常緑低木です。
      庭木や垣根に利用されるイチイの変種で、雌木・雄木があり春に花を咲かせ、秋になると 雌木は赤い実を付けます。

      日本海側の高山など多雪地帯に自生し、鳥取県の大仙山頂部にある伽羅木群生地は国の天然記念物に指定されており、「ダイセンキャラボク」として鳥取県の県木にもなっています。名の由来は香木のキャラに似ていることによるそうですが全くの別種です。

      古い時代に飛騨の位山にある伽羅木を使い高官の用いる笏を製作したところ朝廷から官位の 「一位」を賜ったことから「イチイ(一位)」という名前が付いたという説もあり、そのことから「笏の木」という別名を持ちます。
      東北北部や北海道ではサカキやヒサカキを産しなかったため玉串などの神事に用いられ、神社境内に植えられているそうです。

      花言葉は高尚、慰めです。
      花材:伽羅・小菊

  • 平成23年10月の香り
    • 野ばらの実・風船唐綿・くわずいもの葉

      「風船唐綿」はガガイモ科トウワタ属で、日本では1年草として栽培されていますが、本来は常緑低木です。大きいものでは高さ2~3メートル程にまで成長します。
      綿状の葉が対生し、8月から9月頃小さな白い花を咲かせます。秋になると表面にやわらかい棘が生えた風船のように膨れた果実をつけ、晩秋になると果実ははじけ白い綿毛のある種子がでてきます。

      南アフリカが原産で、1936年に渡来したそうです。
      学名をゴンフォカルブス・フルティコーカスといいギリシャ語の「gomphosこん棒」+「carpos実」が語源となっているそうです。
      和名の「風船唐綿」は、果実が風船のように膨み、綿のつく種子を持つ外来(唐)植物の意味で、別名「風船玉の木」とも呼ばれています。

      花言葉は、花と実で異なり、花は「隠された能力」実は「いっぱいの夢」です。
      花材:野ばらの実・風船唐綿・くわずいもの葉

  • 平成23年9月の香り(2)
    • 石化柳・黍・唐辛子

      きび(黍)はイネ科キビ属の一年草で、穀物の1種です。
      日本では五穀(米・麦・粟・黍・豆)の1つとして知られています。
      インドが原産で、日本には弥生時代に中国から渡来したといわれています。
      夏から秋にかけ茎の先に20cm程度の穂が垂れ下がり、秋には花が咲き黄色い実が成ります。実が黄色であることから「黄実きみ」→「きび」になったと言われています。

      「きび」というと、「桃太郎伝説に登場するキビダンゴ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。桃太郎伝説発祥の地とされる岡山は、古くから良質な黍の産地として知られ、人々は黍団子を作り、お祭りには神前に黍酒を備えてきたそうです。「吉備津神社社記」には、孝霊天皇の皇子、吉備津彦命による「温羅(鬼)退治」の物語と共に、鬼と戦っている最中に老漁夫が「黍団子」を献上し、それを命が大変喜んで食したという記載が残されています。

      1848年頃、岡山藩の茶人、家老伊木三猿斎が茶席に向くキビダンゴを考案させたものが改良され、現在の吉備団子の元となったといわれています。

      花材:石化柳・黍・唐辛子

  • 平成23年9月の香り
    • グラジオラス

      グラジオラスは、アヤメ科の多年草で、草丈が70cm~1mにもなる大型球根草です。
      現在栽培されている園芸品種は1000種類を超え、開花時期は3月から9月で、大きくは 春に清楚な花を咲かせるタイプと夏以降に豪華な花を咲かせるタイプの2つに分けられるようです。

      原産国はアフリカ・地中海沿岸などで、葉が剣に似ていることから、古代ローマ時代の剣である<グラディウス>にちなみ名付けられたと言われています。 日本には明治時代にオランダ人により伝えられ栽培が始まりました。アヤメやショウブに似ていることからトウショウブ・オランダアヤメという和名がついています。 花穂が長く突き出していることから東北地方では「ナガラ」「ナガラべソ」と呼ばれるそうです。

      花言葉は「勝利」「密会」「用心」「たゆまぬ努力」などあります。
      花材:グラジオラス

  • 平成23年8月の香り
    • パンパスグラス、蓮の実、アンスリウム

      当院近隣の蓮畑でも白やピンク色の美しい蓮の花を見かける季節です。

      原産地をインド亜大陸とその周辺とする「ハス」は、植物の中でも最も古いものの一つとされ、およそ1億4000万年前には存在していたといわれています。
      蓮には園芸品種がとても多く、食用と観賞用を合わせると100種を超えるそうです。 古名の「はちす」は、花托の形状を蜂の巣に見立てたことから。漢字の「蓮」は種子が連なって付くことからと言われ、芙蓉、水芙蓉、池見草などの異称を持ちます。

      「蓮華」とハスの花を指し言い、これは仏教と共に伝来し古くから使われた名前です。蓮華の開花時期は7~8月で、早朝に咲き午後3時頃には閉じる。
      この花の開閉を3回繰り返し、4日目には花びらが散るのだそうです。
      蓮花は、清らかさや神聖の象徴と称されることが多く、「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という中国の成句はとても有名です。
      アジアの多くの国の国花となっており、仏教では西方浄土の極楽は神聖な蓮の池とされ 仏像の台座にもその形がよく使われています。

      今回、使用している蓮は、蓮華の花弁が散った後の花托を乾燥させたものです。

      花材:パンパスグラス、蓮の実、アンスリウム

  • 平成23年7月の香り
    • ひまわり、キキョウラン、ヤツデ、瑠璃玉あざみ

      猛暑の中、いきいきと咲く「ひまわり」の姿は真夏のシンボルとも言えましょう。
      ひまわりは、キク科の一年草。20cmぐらいのものから大きなものでは高さ3mくらいまで成長し、野生のものだけでも60種類ほど知られています。

      北アメリカが原産で、紀元前からインディアンの食用作物として栽培され、16世紀のコロンブスの新大陸発見後ヨーロッパに渡りました。日本には1666年に中国から伝えられたといわれています。

      学名をHelianthus(ヘリアンサス)といい、ギリシャ語のHelios(太陽)anthos(花)が語源で、和名は、花が太陽の動きにつれてまわることから、「向日葵」「日輪草」「日車」など呼ばれ、国により呼び名は変わりますが、いずれも太陽に由来する名前が付けられています。
      ひまわりの花は、太陽の動きにつれ、その方向を追うように回ると言われていますが、実際は花首の柔らかい蕾の時期まで昼間は太陽の方向を向き、夜は向きを戻す。成長して花が咲いてからは東を向いて咲くのだそうです。

      花言葉は「私の目はあなただけを見つめる」です。
      花材:ひまわり、キキョウラン、ヤツデ、瑠璃玉あざみ

  • 平成23年6月の香り
    • ティーツリー、スモークツリー、百合、ギボウシ

      「ティーツリー」は、フトモモ科の常緑植物で原産国でもあるオーストラリアの東海岸の亜熱帯地域に自生し、大きなものは7メートル程の樹木に成長します。
      初夏に羽毛のような白い花を付け、さわやかな香りを放つ植物でハーブガーデンのシンボルツリーとしても好まれています。

      名前の由来は、18世紀の大航海時代に有名なクック船長がオーストラリアを発見したときに、この木の葉でお茶を煎れ飲んだことによると言われています。
      オーストラリア先住民族のアボリジニの間では、何千年もの間この葉を砕きケガや皮膚の治療など薬用として用いられてきました。
      この葉から抽出されたオイルはティーツリーオイルと呼ばれ、近年人気のアロマテラピーで、殺菌・精神安定作用があると注目を集め、石鹸・洗浄剤などにも多く利用されています。

      当院に飾らせて頂いた間、そのさわやかな香りに気付かれた方もいらしたのではと思います。

      花言葉は「清潔」です。
      花材:ティーツリー、スモークツリー、百合、ギボウシ

  • 平成23年5月の香り
    • 杜若

      杜若(かきつばた)はアヤメ科の球根性落葉多年草です。

      アヤメ科の植物は、自生種から園芸品種まで世界で200種類ほど知られており、「いずれがアヤメかカキツバタ」という言葉があるように、殊に杜若・花菖蒲・あやめは見分けの難しいものです。一般的によくいわれる見分け方をご紹介しますと、杜若は水際や湿地に生え、花菖蒲は湿地に、あやめは陸地に生えます。
      また花弁の根元の部分に、杜若は白、花ショウブは黄色、あやめは網目状の模様があるのが特徴です。

      杜若の名前の由来は、古くに花の汁を布に擦りつけ布を染めたことから「書き付け花」と呼ばれていたものが「かきつばた」に変化したのだといわれています。 また万葉の時代から、歌の題材として多く詠まれており、伊勢物語で在原業平が、三河の国八橋(現在の愛知県知立市八橋)で沢のほとりにたくさん咲く杜若を見つけ、「か」「き」「つ」「ば」「た」の5文字を句の頭において詠んだ、

      から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ

      という和歌はつとに有名です。

      花言葉は「幸福が来る」「幸福はきっとあなたのもの」です。
      花材:杜若

      下の写真は、5月16日に当院にて催されました、喜多流大島能楽堂大島様による能鑑賞会の会場に飾らせて頂きました花になります。

      能鑑賞会 能鑑賞会 能鑑賞会
  • 平成23年4月の香り
    • サクラ

      桜はバラ科サクラ属の落葉広葉樹で原産地はヒマラヤ近郊と考えられています。
      日本には少なくとも数百年前から自生していたとされ変性・交雑・交配の後、現在では 600種以上の品種が確認されています。
      花弁は5枚から百数十枚まで様々で、5枚までのものは一重、5~10枚のものは半八重、10枚以上の花弁をもつものは八重と呼ばれています。

      桜は平安時代には最も人気のある花木となり、常に日本人に親しまれてきた日本を代表する植物といえるでしょう。
      中でも親しまれているのは古代より山に自生して咲くヤマザクラや八重桜だそうです。 法的に定められてはいませんが国花の1つとされ、多くの紋章や百円硬貨の表のデザインに使われています。

      名称の由来は、「咲く」に複数を意味する「ら」を加えた。春にやってくる稲(サ)の神が憑依する座(クラ)だから。富士山の頂から花の種を蒔き、花を咲かせたとされる「コノハナノサクヤビメ木花之佐久夜(咲耶)毘売」の「さくや」をとって「桜」になったとも云われています。ちなみに「木花」は「此花」と書かれることもあり「この花(桜)のように美しい姫」という意味もあるそうです。
      昔は緑が生え、稲作を始める時期に咲くため暦代わりにも使われていたそうです。

      花言葉は「優れた美人」「純潔」「あなたに微笑む」です。
      花材:サクラ

  • つるし雛 3月
    • つるし雛

      つるし雛は、静岡県伊豆稲取地区に江戸時代から伝わっています。
      当時、雛飾りは極一部の家庭にしか手に入れられるものではありませんでした。
      子ども・孫の初節句を祝うため端切れを使い手作りの雛飾りを作ったのが始まりのようです。

      現在ではお雛様と一緒に飾られ家庭により吊るしの内容も様々なようですが、約50種余もの細工を赤い糸を吊るした紅白の輪に55個揃え、これを対にすることで110個の細工が飾られたものが基本型とされるようです。

      飾りには無病息災、健やかな成長、子孫繁栄等の祈りが込められ1つ1つに意味があり 割り切れない奇数で作られています。
      言われをいくつか紹介します。

      つるし雛 つるし雛
      【鶴・亀・伊勢海老】 長寿の象徴
      【ひよこ】 小さな時から「ピヨピヨ」とおしゃべりができるように。愛らしく皆か可愛がられるように。
      【桃】 桃の実には霊力があるとされ、邪気・悪霊を退治し延命長寿を意味する。女性を象徴し女の子の厄払いになるとされている。
      【でんでん太鼓】 めでたい太鼓に幸多きよう願いを込められている。裏表のない子に育つように。
      【くす玉】 人の輪・人生の輪を表し心まるくやさしい子に育つように願いが込められている。

      当院ロビーにて簡単な説明を付け3月末まで飾らせて頂いております。

  • 平成23年2月の香り
    • びわ

      「びわ」はバラ科の常緑高木で中国西部が原産です。
      葉は大きな長楕円形で、表面にはつやがあり裏面は淡褐色の細毛に覆われ、車輪状に開いて着き大葉は大葉どうし、小葉は小葉どうしが向き合っています。

      冬に白い小花が十数個集まりつきますが花軸、花梗に褐毛があるため花は黄色掛かって見え、びわの果実を思わせる優しく甘い香りがします。
      日本には古代に持ち込まれたとされています。
      インドの古い仏典に、びわの樹は「大薬王樹」、びわの葉は「無優扇」と名付けられ優れた薬効をあると記されています。日本でも奈良時代、光明天皇によって創られた「施薬院」で既にびわの葉の療法が行われていたそうで現在でも民間薬として利用されているようです。

      今回生けました「びわ」は、木をお持ちの方からご好意でいただきました。
      びわの花を見る機会はなかなかありませんのでお楽しみ頂けましたらと思います。

      花言葉は「温和」「治癒」です。
      花材:びわ

  • 平成23年1月の香り
    • 松・竹・梅

      『松竹梅』は慶事の象徴です。
      元々は中国の歳寒三友(中国画の画材の一つ)が伝わったものといわれています。

      松は寒中も色褪せず、竹も青々とし成長早くまっすぐ伸びる。
      梅は寒中に他の植物に先駆け花開くことから慶事に用いられるようになりました。
      『松』は、マツ科マツ属の総称で世界に約100種類以上主に北半球に分布しております。
      松は冬でも緑を保ち、寿命も長いということから「平安」「長寿」を表し、また若松は、まっすぐに伸びることから「成長」を表すというめでたいものとみなされ古くより正月・祝日・誕生日などの祝賀の時に多く用いられています。
      名の由来は、松は神の依り代とされ、神が降りてくるのを待つことから「マツ」になったといわれています。また葉が2つに分かれていることから股が次第に「マツ」になったという説もあります。

      *梅は女画を取って生けております。
      花材:松・竹・梅

平成22年 季節の香り

  • 平成22年12月の香り
    • 晒三ツ又・晒羊歯・ワタの木・ヒムロ杉・スプレーカーネーション

      本来キリスト教の祝日である『クリスマス』も現在では年中行事として定着しています。
      今月はクリスマスカラーを使って生けさせていただきました。
      クリスマスカラーとは緑・赤・白とされ、それぞれに意味があるそうです。

      『緑』はツリーの緑です。もみの木が最もポピュラーですが、もみの木は多くの木が枯れる時期にも葉を付けていることから「希望の木」とされ、十字形の葉形をキリストの十字架にも結びつけていたようです。もみの木に次いで用いられるのがヒイラギで、葉の棘はキリストの受難・赤い実はキリストの血を表しでいるそうです。 クリスマスグリーンは一年中葉を茂らす常緑樹で「生命力」「永遠の命」「春の訪れ」「神の永遠の愛」を象徴しているそうです。
      『赤』はキリストの流した血の色で「博愛」を表します。またキリストが生まれたときに次々と実を結んだ林檎の実やヒイラギの実の赤にちなんでいるという説もあります。
      『白』は雪の色で「春を待つ希望」「純粋な心」を表しています。

      また上記3色以外によく用いられるのが『金色』です。 クリスマスツリーのトップに飾られる金の星はキリスト誕生のときに東の空に一際大きく輝いた「ベツレヘムの星」を表し「高貴さ」「大切さ」の意味が込められ、金使いはベツレヘムの星の輝きを表現しているそうです。

      花材:晒三ツ又・晒羊歯・ワタの木・ヒムロ杉・スプレーカーネーション

  • 平成22年11月の香り
    • 石化柳・ピンクッション・リュウカデンドロ・ドラセナサンデリアナ

      石化柳(セッカヤナギ)はヤナギ科、日本原産の栽培される落葉小潅木です。 尾上柳(オノエヤナギ)の枝が成長過程で突然変異により帯状に平たくなる「石化」をしたと言われています。 蛇竜柳(ジャリュウヤナギ)の別名を持つほど曲がりくねり、その曲線がとてもおもしろく思われます。
      花言葉は「たくましさ」です。
      石化柳・ピンクッション・リュウカデンドロ・ドラセナサンデリアナ

      珊瑚水木・紅葉雪柳:赤茶ピンポン菊・黄糸菊・赤黄スプレー菊・緑スプレー菊

      2枚目の写真は11月12日に当院にて催されましたソプラノクラッシクコンサート会場に飾らせて頂きましたものです。
      秋の代表花「菊」を秋らしい色合いで4種ふんだんに遣った菊盛りに紅葉した雪柳と珊瑚水木を添えております。

      花材:珊瑚水木・紅葉雪柳:赤茶ピンポン菊・黄糸菊・赤黄スプレー菊・緑スプレー菊

  • 平成22年10月の香り
    • 菊

      菊はキク科キク属の多年草です。種類は庭先の野菊から丹精込めて作られた大輪の花までとても多く世界的に見ると2万種以上あるそうです。
      唐の時代に中国で交配により生まれ、奈良時代に薬草として日本に渡来しました。

      「きく」は漢名の菊を音読みしたもので、「究極・最終」を意味し1年の1番終わりに咲くことから名付けられたそうです。天皇家紋章としても知られる菊花は桜と並び日本の事実上の国花とされ代表的な花言葉には「高貴」「誠実」などがあります また東洋で最も古くからある鑑賞植物とされており日本でも平安時代の頃より宮中で鑑賞に用いられたようです。鑑賞の習慣は中国より「重陽の節句」と共にもたらされました。 重陽(ちょうよう)の節句とは五節句のひとつにあたります。 中国の思想では、奇数の陽の日が縁起良いとされ、その陽の数が重なる最後の9月9日を特に意味のある日「重陽」として定めたようです。 旧暦では菊の咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれています。

      古くはこの日に邪気を祓い長寿を願って、菊花を杯に浮かべ飲むしきたりがあったそうです。
      本年の旧暦9月9日は10月16日です。

      花材:菊

  • 平成22年9月の香り
    • パンパスグラス・ドラセナ・ケイトウ

      ケイトウは熱帯アジアを原産とするヒユ科ケイトウ属の非耐寒性1年草です。
      茎頂が帯化変形した花冠が鶏のとさかに似ているため鶏頭(ケイトウ)の名がついたとされています。花冠が球形のものや槍のように尖るものなど形態により大きくは4つの系統に分類されます。

      日本には奈良時代に中国より渡来し古くは「韓藍(からあい)」と呼ばれ万葉集にも4首詠まれています。また古名からもわかるように染物の染料や薬用にもされたようです。
      花と葉はアフリカと東南アジアで現在も食用とされているそうです。
      日本においても食用植物として栽培されていた時期がありました。江戸時代書かれた貝原益軒の『菜譜』にも「若菜を茹でて、しょうゆにひたし食べるとヒユよりうまいが、和え物としてはヒユに劣る」と記されています。

      花言葉には「博愛」、「おしゃれ」、「愛する大地」などあります。
      花材:パンパスグラス・ドラセナ・ケイトウ

  • 平成22年8月の香り
    • 朝鮮槙・りんどう

      朝鮮槙(ちょうせんまき)は、イヌガヤ科イヌガヤ属の常緑低木で、日本で作られたイヌガヤの園芸品種です。和名を「鬱金香(うっこんこう)」といい、生け花でよく使われます。
      名前に「槙」が付きますが、よく知られている高野槙・犬槙とは全くの別物となります。
      「槙」とは「真木(良い木)」の意。古くは常緑針葉樹の総称で今日ではイヌマキ・高野槙を指し、また木材として優れたスギ・ヒノキの総称でもあります。

      朝鮮槙の原型でもあるイヌガヤの名は『かやに似ているが実は硬くて食べられず役に立たない』ということに由来するそうです。 しかし昔は、その実からとれる油が冬に凍らず光が明るいということから屋外灯火として用いられていたようです。

      植物名で「イヌ」が付く場合、役に立たないという意味を持つことが多いようですが、イヌガヤからの改良後「槙」を名に持った朝鮮槙は、暑いこの季節、青々とし涼やかで長持ちをするまさに「真木」といえますね。

      花材:朝鮮槙・りんどう

  • 平成22年7月の香り
    • カーグリコ・トルコキキョウ・かすみ草

      トルコキキョウは日々の生活の中でも目にすることの多い花の1つです。
      トルコキキョウはリンドウ科ユーストマ属になります。
      属名のユーストマは「良い口」を意味するギリシャ語が語源です。

      和名である「トルコキキョウ」の名の由来はキキョウに似た花で、花の形が「イスラム教のモスク」や「トルコ人のターバン」に似ていることに因むなど様々な説があります。

      原産地は北アメリカで、日本には昭和初期に渡来しました。
      二度に渡る世界大戦により他の園芸植物同様に世界的に殆ど絶えてしまったものの日本では細々と生き残ったようです。
      渡来時は一重で花色は紫に限られていたそうですが昭和の後半から品種改良が進み始め、花色には白、ピンク、紫、淡いグリーンや複色、紫やピンクの縁取りなどもあり、花形も一重、二重、八重咲き、バラ咲きと多様で現在では200品種にも及びます。
      トルコキキョウの品種改良は日本が中心となり全体の品種の殆どが日本産だそうです。

      花言葉は、「優美」、「良い語らい」、「深い思いやり」、「花嫁の感傷」など、色かたちによっていろいろありますが、今回いけました濃紫のトルコキキョウの花言葉は『希望』です
      花材:カーグリコ・トルコキキョウ・かすみ草

  • 平成22年6月の香り
    • 紫陽花・瑠璃虎の尾・かすみ草

      雨降る中を彩る「紫陽花」は梅雨の代表的風景とも言えましょう。

      紫陽花の名は藍色の花が集まって咲く様を表す 「あずさい」に 由来すると言われています。
      花の色が変わることで「七変化」の異名を持つ 紫陽花ですが日本が原産であり古来の紫陽花は 青色だったそうです。
      「紫陽花」という漢字は平安時代に用いられるようになり万葉集にも詠まれております。

      『紫陽花の 八重咲く如く 弥つ代にを いませ我が背子 見つつ偲はむ』

      橘諸兄

      遠い先人もこの季節、雨のしずくに濡れる紫陽花を愛でていたと思うと感慨深いものです。

      花材:紫陽花・瑠璃虎の尾・かすみ草

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